年収500 万円でも4,000万円代のマンションが買える?

年齢が30代の方の年収500万円という額は、決して少ない年収額ではありません。しかも順調に結婚していれば、そろそろマンションや戸建といったマイホームを検討しようかと考え始める時期でもあります。 マンションなどマイホームを取得する際、おもに資金計画についてどのような注意点があるか考えてみました。

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年収500万ならいくらのマンションが検討できる?

フラット35の基準では、年収400万円をひとつの境として考えているようです。なのでそれより100万アップの年収500万円が見込める方は、フラット35の適用条件になり、マンションなどのマイホームを検討するのに早すぎることは決してありません。でも年収500万円でいくらくらいのマンションが購入できるのでしょうか。頭金などにより購入金額に大きな差はあるのでしょうか?見ていきましょう

自己資金によって取得できるマイホームは変わってくる

それでは年収500万円の方がいくらのマイホームを検討できるかですが、この質問に正しく答えるには、準備している自己資金を把握してなければなりません。

また収入合算者がいるかどうかでも、借入可能額が変わってきます。そのためより具体的にヒアリングを行う場合は、最低でも自己資金をどの程度なら用意できるか、また収入合算できる人がいるかどうかも、相手に話せるようにしておくことが大切です。

年収の5倍までがマイホームの望める額という話は軽視できない

ただそれに答えなくても、年収が分かれば大まかなアドバイスはできます。一般的には年収の5倍までが望めるマイホームの額だといわれています。例えば年収500万の方なら、その額は2,500万円となります。

「年収の5倍までがマイホームの金額というのは本当なの?」ということもよくいわれます。ここでいう「マイホームの金額」とは、銀行から借りられる融資額という意味でもあります。

実は年収の5倍までがマイホームの金額というのは、かなり信憑性がある数字です。ただ一般の方は住宅ローンを目一杯借りることはせず、借りられる額の8割や9割に留めたいと思うものです。従って、自己資金を含めて2,500万円ぐらいが計画の上限とみるのです。

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自己資金とは結局「諸費用」と「頭金」の合計金額

また資金計画を組む際、諸費用」「頭金」というワードもよく登場します。

知っている人も多いでしょうが、たとえば諸費用というのは、マンション販売会社や金融機関に支払う登記に関連した費用や融資に関する手数料の合計であり、頭金はマンションの手付金に当たるお金です。そして自己資金というのは、この諸費用と頭金の合計額のことです。

では自己資金はいくら用意すれば良いでしょう。その際、参考にして欲しい目安は、計画の2割程度、余裕がれば3割程度は自己資金(つまりは諸費用を含めての頭金)として用意しておきたいということです。

3割といわれるとそれほど大きな額とは思いませんが、3,000万円の計画だとしたら3割は900万円になります。余裕を持つなら、計画的に自己資金を準備しなければなりません。

住宅ローンは返せる額におさめるのが鉄則

諸費用は多くても160〜170万円程度でおさまります。ですから多くの場合、計画の1割にも満たない額です。諸費用込みの自己資金として3割程度準備できていると、借入は少なくとも8割弱に抑えられます。

先程の例だと借入は2,100万円ほどにおさまりますが、年収500万円の方なら無理なく返していける金額です。

住宅ローンは銀行から「借りられる額」を借りるのではなく、「返せる額」におさめるのが鉄則です。無理に借りすぎた結果、悲惨な状況に苦しむ方多いのも住宅ローンの真実です。

借入を8割に抑えられれば、子供の教育費が増えたとしても、十分対応できます。またその程度に抑えて住宅ローンも考えてみればいいでしよう。

子供がいた場合のお金の掛かり方をイメージしておく

また住宅ローンを返済額でみた場合、借入は年収の20%から25%までに抑えたいもの。家賃でいうと年収500万の方なら、月8万円から10万円というのがひとつの目安です。

うちは子供もいないし、奥さんも働けているから言えるのかもしれませんが、それでも10万円という額は少ないのでは?」という方もいるでしょう。でも子供ができて奥様が働けなくなったらでしょう。それでも余裕はあるでしょうか。

また子供が高校受験に備えて塾に行きたいといった場合でも、十分やっていけるでしょうか? また奥様の復職は公務員並みにしっかりしているでしょうか? 奥様が仕事に復帰しなくても、ご主人の単独収入で十分やっていけると自信を持っていえるでしょうか?

これだけ執拗に問いかけられたら、ご主人の威厳も丸つぶれです。ただ子供ができるとお金がかかるのだということを、いまこの機会に考えてみることをおすすめします。

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実際にどのぐらいまで銀行からお金が借りられるか試算してみよう

では実際にどのくらいまでなら銀行からお金が借りられるか、試算してみましょう。

ご主人(もしくは世帯)の年収500万円の場合、銀行が考える年間支払い可能金額は150万円です。よって2,800万円が金融機関から借りられる上限です(返済期間は35年返済とする)。

なお銀行が考える年間支払い可能金額は150万円とは、返済額ベースでみると30%に達します(20%〜25%ではありません)。この点でみても、2,800万円が借りられる上限だというニュアンスが伝わるでしょうか。

年収500万円で狙えるマンションは?

では、実際に年収500万円で狙えるマンションはどのあたりになるでしょう?

かりに自己資金が500万円用意できている方は、総予算が3,300万円(自己資金+借入)になります。東京であれば中古マンションならば十分狙える金額です。

ただこの値段では新築マンションだと少し手狭になるかもしれません。しかし、ないわけでもないので都心から少し外れてしまいますが、町田や八王子などで探して見るのはおすすめです

また自己資金が1,000万程度準備できている方は、総予算も3,800万円〜4,000万円(自己資金+借入)ということで、攻めるエリアを少し拡大できるでしょう。

地方都市なら新築マンションも十分狙える予算です。ただその場合でも、自己資金+借入で4,000万円台前半まで予算を広げられれば、選択肢は更に拡大できます。

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借入可能額と総返済負担率との関係

最後に、住宅ローンの借り入れに欠かせない総返済負担率について触れておきます。

総返済負担率とは[年間返済額÷年収]%で計算される数値で、年収に対して年返済額がどのぐらいの割合か示しています。

かりに前項(年収で500万円)の例で、総返済負担率を年収の20%から25%以内に抑えたとしましょう。すると融資可能額は必然的に2,000万円(総返済負担率が20%)から2,340万円(25%)に下がります。

総返済負担率は借金の返済額も反映される

また先の例では、総返済負担率を30%で計算し、融資は2,800万円まで可能となりました。このことからいえることは、銀行はローン申込者に何も問題がなければ、総返済負担率で30%までなら融資をつけてあげようとします。

しかし申込者に借金があった場合は、借金の返済額も総返済負担率に足して計算するのが通例です。そのため住宅ローンとして借りられるお金は、借金の分が減額されてしまいます。借りられるお金から可能な限り住宅ローンを引き出したければ、なるべく余計な借金をしないことです。

(ここでいう借金とは、クレジットカードの一括払い以外のすべての借金で、教育ローンや自動車ローンもこれに含まれます

銀行には住宅ローン審査用の金利がある

銀行には住宅ローン審査用の金利があります。通常だと銀行はもっと安い優遇金利を適用させていますが、審査用の金利とは優遇幅を取り除いた高い金利です(正確にはプラスαを付けています)。

この記事では4%を審査用の金利として使っています。

安い優遇金利を使うと借入可能額がもう少し多く出てくると思っている方もいるでしょうが、4%ぐらいを使って計算すると実際の融資額に近い数字が出てきます。リアルな借入可能額が知りたければ、審査用の金利として4%を設定してみると良いでしょう。

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まとめ

住宅について検討し始めた年収500万円の方を想定して、記事を展開してみました。

独身時代や結婚しても子供ができる前だと、年収500万円あればわりとリッチな生活が送れるものです。ただ子供が居るといないとでは、これほど生活が変わるのかと実感するのも真実です。その意味では年収400万円、500万円というのは、子供が大人になることのひとつの境目なのかもしれません。

また住宅ローンには王道も裏技もありません。ただ唯一お金を貯める習慣ががある方には、住宅ローンの神様が微笑んでくれます。その意味では収入を増やすことも無論大事ですが、上手に自己資金を貯めることも、習慣として身につけておきたいもの。そうすれば借入を増やさないでも、予算を広げられるでしょう。