「持ち家」か「賃貸」か?ローンを35年にするなら持ち家が正解

「持ち家」か「賃貸」かという論争は不動産記事の必須テーマといっても良いでしょう。最近では人生100年時代にかこつけ、「持ち家」こそ相応しい選択といった記事も見かけます。 もはや何が正しいかというより、捉える視点、また比較するポイントによっていろんな意見が出てくることを楽しんでいるようです。ここでは、これまでとは別の視点で「持ち家」か「賃貸」かについて考えてみましょう。

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「持ち家」か「賃貸」にはこだわっても住宅ローンの長期返済に疑問を持たないのは何故?

「持ち家」か「賃貸」かの前にひとつ疑問があります。それは30年や35年といった住宅ローンの長期返済について、不思議と皆さんは疑問を持たないのかということです。いや、疑問を持っていても口に出さないだけなのかもしれません。

敢えていうなら論争すべきなのは「持ち家」か「賃貸」かではありません。それより「持ち家」でも「賃貸」でも、分相応の暮らしを心がけるということ。これを守れば少なくともローン破産は避けられます。また老後貧乏とも無縁でいられるのです。

いまは羽振りがよくても、20年後25年後の暮らしを正しくイメージできている人は少ないはずです。それなのに30年や35年といった、まだ生きたこともない長さの長期ローンについて、私たちは無頓着に受け入れています。

ましてこれからは、AIの台頭などで人間の働き方が大きく変わる時代といわれています。比較的安定しているといわれる公務員や一部上場企業に務めている人でも、30年や35年といった長期住宅ローンは「長すぎて怖い」と感じる人もいるのではないでしょうか。

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20年返済を超える住宅ローンはもはや古い?

考えてみましょう。住宅ローンの長期返済は、少し前の中国のように世の中がまだ右肩上がりをしていたしていた頃の日本経済を前提につくられた仕組みです。

木造住宅にも35年返済が認められたのは、2000年だったと記憶しています。その頃の世の中は、バブル期の負の遺産の処理とまだ金融再編の最中でした。それは言い換えれば、日本経済が成長期を終えて成熟期に向かう準備期間といえば良いかもしれません。その意味で、住宅ローンの長期返済はやや時代遅れの仕組みでしたが、いっぽうで融資の間口が広がったことから使い手から歓迎、また支持されました。

35年返済を選ぶ人は意外にも少数派

ただすべてのユーザーが、住宅ローンの長期返済を支持したわけではありません。

その証拠として、住宅ローンの完済までの期間が想像していた数値とは違い、かなり短い期間で償還していたことが下記データに記されていました

『2016年民間住宅ローンの貸出動向調査/6.住宅ローンの貸出期間(p.13)・住宅金融支援機構』(https://www.jhf.go.jp/files/400344800.pdf)。

このデータによれば、2016年度中のローンの完済年数は、申込み当初では平均25.6年、そして実際の償還年数は平均で15.0年終わらせていたことになります。

なお35年返済を選んだの人の割合は、前年度より少し伸びて2016年は13.1%、実際の償還年数で30年以下の割合は8.6%となっています。つまり35年返済を選ぶ人は相当少数派だということです。

約定貸出期間が平均で約25年、実際のローン償還期間が平均で14,5年という傾向は、データを集計し始めた2007年以来ほとんど変わりません。またこうした傾向は、私自身の経験でも腑に落ちるところがあります。

私は注文住宅の販売に長く関わってきましたが、私の顧客との雑談の折に得た情報でも、多くの方が実際の住宅ローンの償還期間を早めに終わらせており、なかには10年を切る方も少なくなかったのでした。こうした経験が、のちに顧客に提案する資金計画書に反映されたのは言うまでもありません。

住宅ローンの返済期間については色々いわれて来ましたが、結局きるだけ早く返済してしまおうと考えるのが、賢明なユーザーが出した答えです。2016年、2017年は史上最低の低金利を反映して、住宅ローンの実際の償還年数は2015年度より0.6年伸長しました。しかし住宅ローンはなるべく早く完済してしまおうという傾向は変わりません。

35年返済でなければ無理なら物件価格を見直すべき

このことから学べることとして、これから住宅ローン検討する方に考えてほしいのは、無理がなければ返済期間を短くすることです。

また無理して35年返済を選ぶより、まず物件価格を見直すべきです。それが分相応の住まいを手に入れる秘訣であり、ローン破産を避けることにもつながります。

短期返済のメリットは、家計が収支に変調をきたし金融機関にリスケジュールを申し込んでも、救済措置として最長で35年返済が選択できるとこにあります(フラット35など)。返済期間が10年伸びれば、生活を再建できる可能性はかなり広がります。

はじめから35年返済を使ってしまうと、何かあった場合に返済期間の延長が効きません。なので、最長の35年返済はなるべくとっておき、30年より短い返済期間を選ぶことです。

基本的に「持ち家」の取得は十分な自己資金を貯めてからでも決して遅くはありません。設備や仕様は、毎年新しいものに切り替わるのが常だからです。逆に今の時代、10年以上先の仕事や家計状態を予測してローンを組むのは、リボ払いを選択するのと同じぐらい無謀なことです。

20年、25年返済を超す住宅ローンを組む際は、対象となる住宅が家計に不釣合いな選択になっていないか、冷静になって考えてみましょう。

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返済期間を間違わなければ「持ち家」が危険な選択とはならない

「持ち家」の取得を前提に考えた場合、自分に見合った住まいを選択でき、正しい住宅ローンの返済期間を設定できれば、「持ち家」を所有が危険な選択だとは誰もいえません。その際に必要な感覚は、やはり住宅ローンの長期返済に疑問を持つことです。

住宅ローンを早く返してしまえる方は二軒目の住宅も夢ではない

長期返済に疑問を持つことで、それなら何とかして20年や25年返済で返してしまおうとするでしょう。かつての公庫融資は25年が最長でしたから、夫婦で協力して10年や15年で返してしまおうとしたものです。

また住宅ローンを早く返してしまえる方は、40代に二軒目の住宅を取得できます。なかには「この人ならリタイアする前に三軒目を建てるのでは」という人もいました。そういう方は世帯年収もたしかに良かったのですが、生活ぶりは良い意味で質素です。

無理のある倹約的な生活なら誰も真似などしない

しかし、いくら趣味の良いライフスタイルだとしても、無理のある倹約的な生活なら誰もこれにあやかろうとは考えないでしょう。ただ、いまはそこまで倹約的に生活しなくても大丈夫です。理由は、むかしとは比較にならないほど物件の選択肢が広がったからです。

ここまで住宅ローンの長期返済に疑問を持つことこそ大事といい続けてこられたのは、じつは中古マンションや戸建てのローコスト分野に良質なプロダクトが増えていることが大きく影響しています。

たとえば、今なら中古マンションを瀟洒にリフォームできます。住まいとしての性能も落とさず、費用も新築物件の半分ほどに節約できるのです。戸建住宅もむかしとくらべると、ローコスト分野で良質なものが手に入るようになりました。戸建分野も、惨めな思いをせずスリフティライフを十分謳歌できる時代にきています。

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賃貸も持ち家も生涯コストは変わらない

住宅ローンが早く返せれば「持ち家」のほうが「賃貸」より確実におトクです。そのいっぽうで長期返済を続けざるを得ない方がいることも確かな現実です。

また住宅金融支援機構の調査データは、あくまで数字上のデータであることを忘れてはなりません。たとえばこのデータから一般企業に勤めるサラリーマン世帯だけを抜き取ったとしたら、償還年数の平均値は違った値になるかもしれません。「賃貸」も「持ち家」も生涯コストは変わらないということは、やはり不変だということです。

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不動産を買う時は、売る時のことも考えることが大切!

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まとめ

ここで伝えたかったことは、年収に見合った分相応な物件を買えば、持ち家も決して無謀な買い物ではないということ。それにはまず、住宅ローンの長期返済に疑問を持つことです。

これまで同じ種類の記事で多く見られたのは、いたずらに繰り上げ返済することの危険性でした。ところがユーザーの実態は、意外にも住宅ローンを早く償還しようとする傾向です。

無理は禁物ですが、繰り上げ返済についてもう少し寛容な姿勢を持ち、住宅ローンの早期完済の後押しができればと考えているところです。