補助金を使って新築マンションをお得に購入!

新築マンションを購入する際は頭金だけでも数百万円、建築代金の総額は数千万円にもなることから、できる限りお金の持ち出しを少なくしたいと考えている方が多いのではないでしょうか。

実は、国や自治体からの補助金や減税措置を利用することで、支払う金額を大きく減らすことができるのです。 そこで今回は、新築マンションを購入する人が利用できる補助金・減税制度を紹介します。

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新築マンション購入時の補助金

マンションを購入する際に、新築物件であれば国や自治体からの補助金を受けられる可能性があります。 受け取れる要件は補助金ごとに異なるため、ご自身の条件に合ったものを申請することになります。

まずは新築マンションを購入する時に受けられる補助金の種類と、受け取るための要件を紹介します。

すまい給付金

2019年に消費税が10%に値上げされたことによる増税負担分をカバーする形で、マイホーム購入しやすくするための制度が「すまい給付金」です。

給付金を受け取るための要件を紹介します。

新築住宅の対象条件

床面積が50㎡以上あること
  • 施行中に検査実施 以下の3つのうち1つに該当すること
  • 1. 住宅瑕疵担保責任保険へ加入
  • 2. 建設住宅性能表示を利用
  • 3. 住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実施

住宅ローンを利用しない場合、「住宅取得者の年齢が50歳以上であること」「収入金額が650万円未満であること」「フラット35Sの条件のを住宅であること」の3要件をさらに満たす必要があります。

給付額の計算方法

  • 給付額は最大で50万円です。
  • 以下の計算式を元に給付額が決定されます。
  • 【給付額の計算式】
  • 給付額=給付基礎額 × 持分割合

給付基礎額は「都道府県民税」の所得割を元に決定されます。持分割合が不明な場合は「不動産の登記事項証明書」から確認が可能です。

受け取れる金額のチェックをしたい場合は、国土交通省のすまい給付金サイト内にある「すまい給付金シミュレーション」を利用すれば簡単に分かります。

地域型住宅グリーン化事業補助金

省エネ、耐久性など地球環境に優しいと評価できる住宅の場合、地域型住宅グリーン化事業補助金を受けられることがあります。

ただし、この制度は住宅取得者が受け取れる補助金ではなく、申請や受け取りは担当した施行会社が受け取る点に注意が必要です。この補助金の支給を前提に建築費用の値引きを受けるなど、間接的に購入者が利益を受け取れる可能性はあります。

  • 【取得要件】
  • 主要構造が木造であること
  • 木材に地域材を使用していること
  • 国の採択を受けたグループの構成員になっている中小住宅生産者等の手で精算されていること

マンションの新築に利用できる制度は「長期優良住宅」「高度省エネ」の2つです。

タイプ1:長期優良住宅

  • 行政庁から「認定長期優良住宅」に認定された住宅が対象です。
  • 補助金額は補助対象経費の1割以内で上限は1戸あたり110万円までと規定されています。

主要構造材の過半で地域材を使用する場合は20万円を上限に加算するほか、三世代同居対象住宅の要件を満たすと30万円を上限に加算できます。

タイプ2:高度省エネ型

行政庁から低酸素建築物の認定を受けた住宅または性能向上計画の認定を受けた住宅が対象です。補助金の支給額・要件は長期優良住宅と同額です。

ZEH補助金

ZEHは「ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、エネルギー収支がゼロになる住宅、つまり太陽光で発電したエネルギーと消費エネルギーが同等の住宅が対象です。

ZEHのロードマップにおけるZEHの条件を満たせば補助金が支給され、金額は60万円/戸になります(2020年度の補助金額)。

「ZEH+」「ZEH+R」等、条件が厳しくなるほどに補助金額が加算される仕組みも存在します。

家庭用燃料電池システム導入支援事業補助金

家庭用の燃料電池システム「エネファーム」を住宅に導入する場合に受け取れる補助金です。購入代金の一部が国から補助されます。

  • ただし、補助金を受けるためには導入前に申請する必要がある点に注意してください。
  • 指定の補助対象エネファームを使用すること、6年以上使用すること等を条件に1台につき8万円が補助されます(機器代+工事費が基準以下の場合)。

補助金の申請方法

  • 補助金は、住宅が建てば自動的にお金を受け取れるわけではありません。
  • 国や自治体に交付の申請が必要です。
  • 補助金によって申請方法は異なりますが、一般的には以下の流れで手続きを進めます。
  • 申請用書類、本人確認書類等を用意して申請手続き
  • 事務局が要件への適合や給付額の内容について審査
  • 申請内容に間違いなければ申請した指定の口座に給付額が振り込まれる
  • 受領者本人が申請・受領することが原則ですが、住宅事業者が手続きを代行することもできます。
  • その場合は、補助金を差し引いた金額の住宅取得資金を事業者に支払うことになります。

減税制度

直接お金を受け取るのが補助金制度の他にも、支払う税金が減ることで結果的に手元に残るお金が増える減税制度も利用することができます。

印紙税

  • 住宅を購入する時には、契約時に発生するのが「印紙税」です。契約書に所定の印紙を貼って押印することで納税したことになります。
  • 売買契約、住宅ローン契約のそれぞれに印紙税が発生します。

印紙税には減額制度があり、手続き不要で利用可能です。

  • 契約書の記載金額
  • 軽減された税額
  • 従来の税額
  • 500万円超1,000万円以下
  • 5,000円
  • 10,000円
  • 1,000万円超5,000万円以下
  • 10,000円
  • 20,000円
  • 5,000万円超1億円以下
  • 30,000円
  • 60,000円
  • 表のとおり、従来の半分の税率に自動的に減税されます。
    • なお、この制度は令和2年(2020年)3月31日までの時限措置でしたが、令和4年3月3日まで2年間の延長が決定しています。 https://www.zentaku.or.jp/news/4651/

      登録免許税

      土地や建物を購入する際は所有権についての登記が必要です。登記の際に税金が発生し、「登録免許税」と呼びます。

      • その際、床面積が50㎡以上あれば税額が軽減されます。
      • この「50㎡」は専有面積より小さい登記簿面積で判断されるため、購入した住宅の専有面積が50㎡よりわずかに広い住宅の場合は登記面積の確認が必要です。
      • 登録免許税の減税も印紙税と同じく2020年3月31日までの時限措置でしたが、令和4年3月31日まで2年間延長されています。
      • 登記の種類
      • 税率(軽減後)
      • 税率(軽減前)
      • 土地(所有権移転)
      • 1.5%
      • 2.0%
      • 建物(所有権保存)
      • 0.15%
      • 0.4%
      • 住宅ローン(抵当権設定)
      • 0.1%
      • 0.4%

      不動産取得税

      新居を建築・購入して入居した場合、住居地の自治体から不動産取得税の通知が届きます。税金の額は土地・建物それぞれの評価額の3%が原則です(2021年3月31日まで)。

      現在は「土地を取得して3年以内」「床面積が50㎡~240㎡以内」の条件を満たせば以下の通り減税措置が適用されます。

      • 【家屋】
      • (課税標準額-1,200万円)×3%
      • 【土地】
      • 課税標準額×1/2×3%-【控除額】
      • ※控除額は以下の2つのうち多い方が適用される
      • (1)45,000円
      • (2)(1平米当たりの固定資産評価額×1/2)×(床面積×2)×3%

      固定資産税

      家を購入したあとに、毎年支払うことになる税金の1つに「固定資産税」があります。

      標準税率は「固定資産税評価額の1.4%」が原則ですが、住宅の場合は減税措置があります。土地の場合は200㎡以下の部分の評価額が1/6になり、建物は新築後5年間にわたって税額が1/2に減額されます。

      なお、固定資産税の減税措置は令和4年の3月31日までの時限措置です。

      都市計画税

      • 固定資産税とセットで毎年かかる税金が都市計画税です。
      • 最高税率が0.3%と決まっている点が特徴で、土地部分については200㎡以下の評価額を1/3にする特例があります。

      ただし、固定資産税と違って建物部分に関する減額措置はありません。

      その他の優遇制度

      • 国による減税・補助金以外にも地方自治体が独自に給付する補助金を利用できる場合もあります。
      • 住宅に絶対に必要な「火災保険」「地震保険」も条件次第で大きな割引があるため、住宅購入前に不動産業者に相談しておきましょう。

      自治体の給付金

      例えば東京都千代田区の場合は、新築の建築や購入の際に「次世代育成住宅女性」として最大499.2万円の補助・助成金が交付されます。

      • 【千代田区の『次世代育成住宅助成』の条件】
      • 区内に5年以上居住する親がいる新婚世帯・子育て世帯
      • 区内に1年以上居住している子育て世帯
      • 総額1,500万円以上の融資を受け手取得する住宅 等

      自治体によって補助の内容や金額が異なるため、誰もが同じ補助金を受け取れるわけではありません。居住する自治体にどのような制度があるのかを公式ホームページやポータルサイトで確認することをおすすめします。

      https://house.goo.ne.jp/chiiki/kurashi/tokyo/

      火災保険

      • 火災保険の保険料は、燃えにくい住宅であるほど安くなるのが特徴です。
      • 鉄筋コンクリートのマンション等が該当する「M構造」がもっとも安く、鉄骨住宅や2×4工法の住宅、プレハブ小屋が該当する「T構造」がM構造に続きます。

      一方の従来工法の木造は「H構造」と呼ばれ、保険料がもっとも高くなります。

      木造を建築する場合は、2×4工法を選択するかの検討をおすすめします。T構造になれば火災保険料が大幅に安くなるため、建築費用の増額をカバーできるからです。

      • T構造とH構造の保険料差は保険会社によって変わるため、キチンとした試算が必要になります。
      • 安くなる金額が分かれば、木造を立てる時に在来工法を選ぶか2×4工法にするかを決めるヒントになるでしょう。

      地震保険

      地震保険は建物の免震・耐震構造に応じて「免震建築物割引(50%)」「耐震等級割引(10~50%)」「建築年割引(10%)」「免震診断割引」4つの割引を選択適用できるのが特徴です。

      さらに、長期契約の一括払いをすれば最大で約8%の割引となり、最大で54%の割引が適用されます。 ただし、4つの割引は複数該当しても加算されない点に注意が必要です。

      まとめ

      今回は、新築住宅・新築マンションを購入した際に受けることができる補助金・減税制度を解説しました。 制度を利用するかどうかで建築費用に大きな差が出るため、ご自身が利用できる制度をキチンと把握しておきましょう。