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住宅ローンの頭金ってどういう費用?
頭金とは、簡単にいうとマンションの購入の支払いのときに、住宅ローンとは別に手元の現金で始めに支払う部分のお金のことを指します。
では、具体的に頭金とはどのような費用のことをいうのでしょうか。ここでは、そのことについて解説していきます。
住宅ローンで頭金を支払う理由とは
なぜ住宅ローンで頭金を支払うほうが良いのでしょうか。わかりやすく4つに分けて解説していきます。
- 適用金利を下げる
金融機関によって物件価格の何割かの頭金を出すことで適用金利が下がる場合があります。適用される金利は、借入金額によって変わっていきます。
フラット35( 借入期間:21年以上35年以下)の2020年8月の金利の違いを表にまとめました。表のとおり頭金の金額の差によって適用金利が変動し、返済金額に影響することがわかりますね。
融資率 | 金利の範囲 | 最も多い金利 |
---|---|---|
9割以下 | 年1.310%~年2.060% | 年1.310% |
9割超 | 年1.570%~年2.320% | 年1.570% |
引用:新機構団信付きの【フラット35】等の借入金利水準(2020年8月)
- 無理なく返済期間を短くする
住宅ローンは、一般的に最長35年借りることが可能です。ただし、50歳で購入した場合は繰上返済などを行わなければ、85歳まで返済が続きますよね。
定年退職を60歳で考えている場合などは、そのころに返済を終わらせるために、返済期間を短くしたいと考えるひとも少なくありません。
いくらのマンションを購入するかにもよりますが、35年返済する場合の月々の返済額を考えると家計のやりくりが大変でしょう。そこで頭金を入れておくことによって、返済期間を短くすることが可能になるということです。
- 総支払額を下げる
適用金利が例え同じであっても、頭金には利息がかかりません。つまり、総支払額が少なくなるということです。
頭金を支払うことで、支払った分だけの住宅ローンの借入額が減ります。そのため、住宅ローンの毎月の返済額が減ることがわかりますね。
- 金融機関等の審査が通りやすくなる
「頭金が用意できるひと」というのは、「貯蓄が十分にできるひと」と判断される目安になります。クレジットカードの審査などでも同じことがありますよね。
つまり、頭金が用意できているということで金融機関の審査が通りやすくなるのです。逆に頭金が用意できないと、貯蓄が少ないひと、滞納など返済能力が低いひととみなされる可能性が大いにあり、審査に影響することがあります。
頭金を支払うタイミング
頭金を支払うタイミングは、いつ支払えば良いのでしょうか。まずは物件購入の流れを確認しましょう。
物件を購入するときの申し込みの段階で、一般的には10万円程度の申込証拠金を支払います。そして、契約の段階で手付金を支払うことが多いです。
また新築の場合は、物件が完成してから住宅ローンの融資が実行されるステップを踏みます。(物件の引き渡しを受けると同時のことも多い)
頭金を支払うタイミングとしては、この契約から引き渡しの間が一般的です。申込証拠金は手付金に充当されて、手付金は諸費用や頭金に充当されることが多いです。
ただし、実際の入金のタイミングは、やはり営業担当者と相談することになることが多いでしょう。
頭金を払うメリット・デメリットとは?
頭金を支払うメリットとデメリットは、どのようなものがあるのか気になりますよね。
ここでは、その頭金のメリットとデメリットについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
頭金の目安は物件価格の2割くらい
住宅ローンの頭金は、一般的に物件価格の2割程度が目安といわれています。
頭金の割合が大きいほど、住宅ローンを支払う総額は少なくなります。金融機関によっては、頭金の割合を増やすことで住宅ローンの金利を優遇してくれるところもあります。
これを聞いたら、頭金は多ければ多いほうが良いのではないか?と考えるひとも少なくないでしょう。しかし、一概にそうとは言い切れないのです。
というのも頭金を増やすには、貯蓄に何年もかかりますよね。その間に、住宅の価格や住宅ローンの金利が上がる可能性があるからです。
そのため、物件価格の2割という割合については、あくまでひとつの目安ととらえましょう。住宅の価格がどのように動いているのか、金利はどうなっているのかなどの情報を都度調べて、それを総合的にきちんと考えて判断することが大切です。
頭金を支払うメリット
頭金を支払うメリットには大きく分けて3つあります。今回はその3つを具体的に解説していきます。
- 毎月の返済額と利息が軽減される
頭金を支払えば、もちろんその分の融資額を抑えることが可能になります。利息額も減少するため、毎月の返済額が減ることが頭金を支払う最大のメリットといっても過言ではないでしょう。
- ローンの審査にとおりやすくなる
金融機関の多くが頭金の用意を求めてくることがほとんどです。頭金を必須にしている金融機関が15~17%あるというのが事実です。
上述で解説したとおり、頭金が用意できるということは貯蓄がしっかりあるという証明にもなるので、金融機関からの信頼を得られるでしょう。
ただし、これはどれに対しても一律とは言い切れません。審査によっては個人の属性や物件に対する評価なども含まれるためです。融資審査には、さまざまな要素が絡んでくるため、頭金を支払ったからといって必ずしも自身の希望の融資額が下りるわけではないので、気をつけましょう。
- 金利変動のリスクの対策になる
頭金を支払って融資額が下がれば、それだけ融資金が少なくなります。金利は、融資金にかけられているため、融資金が少なければ少ないほど、金利が今後上がった場合の影響を少なくすることが可能です。
頭金を支払うデメリット
メリットが多く見られがちな頭金ですが、メリットがある分もちろんデメリットもあります。ここでは、重点に置くべきデメリットをご紹介していきます。
- 多くの資金を用意しなければならない
例えば、仮に物件の価格の2割の頭金を用意するとなると、4,000万円の物件の場合であれば、800万円必要になるということです。収入によりますが、とてもではないですが簡単に貯められる額ではありませんよね。
そのため、地道にコツコツと目標とする頭金の金額になるまで、貯め続けなければなりません。根気強く、頑張らなければ難しいでしょう。
- ほかのリスクに対応できる資金の余裕がなくなる
頭金を支払うことで、一時的にでも自己資金が減りますよね。頭金を支払うことになっても、手元に十分な自己資金がないと何かあったときにどうしようもないです。
不動産は現物資産です。そのため、災害による損失や突発的な修繕や補修など何が起こるか予測できません。近年では、災害も増えつつあって不安なところもありますよね。常にそれらのリスクを予想して対応できる技量や資金の余裕を持っておくことが重要です。
自己資金をほとんど頭金につぎ込んで、いざというときに何もできないのでは大変です。そういうことがないように、目先のことばかりに目を向けずに広い視野を持って気をつけましょう。
頭金を払わなくても、住宅ローンは利用できるの?
頭金0でも住宅ローンの審査に影響はない
投資用ではなくてマイホームの購入なら、ほぼ審査の結果に影響はありません。なぜなら、近年の低金利が影響しているからです。
金融機関は頭金のありなしに関わらずに、借主にとって無理のない返済負担であるかによってローンの金額を定めています。そして、借主が継続的に返済できる能力を持っているか、によって審査をします。
そのため、頭金が0でもマンション購入では審査に影響がないのです。
しかし、新築マンションの購入だと頭金0はリスクが伴う
新築マンションを購入した場合、売却する際に売却費用でマンションの残りのローンを完済できないリスクがともないます。
物件を住宅ローンで購入すると、金融機関が家に抵当権をつけます。抵当権とは、もしローンの返済をされなくなった場合に金融機関が、その物件を取得・売却しローンの返済にあてられる権利のことを指します。
注意すべき点は、売却してもローンを返済しきれない場合には、その差額分は自分たちで支払わなければならないという点です。新築の物件は購入されてしまうと、直後に価格が2~3割落ちることも珍しくありません。
頭金が0の場合、金利の優遇がされなかったり、ローン総額が大きいため毎月の返済額が重くなったりする可能性もあります。
お金の相談ならファイナンシャルプランナーへ!
頭金について解説してきましたが、実際ひとりでなにもかも調べて用意するというのは難しいでしょう。
資金を用意するために働いて、知識をつけるために勉強して生活をする、なんて容易にできることではありません。逆に身体を壊したり、諦めてしまったり悪影響を及ぼしかねないです。
資産形成、家計の見直しにはプロフェッショナルのファイナンシャルプランナーへ相談してみてはいかがでしょうか。FP(ファイナンシャルプランナー)とは、お金に関する幅広い知識を持った資格を取得しているひとのことを指します。
困ったり悩んだりしたら、ひとりで苦悩せずにプロに相談して一緒に考えてもらうと良いでしょう。自分ひとりでは、わからなかったことを理解して自分の理想に導いてくれるかもしれませんよ。
まとめ
憧れのマイホーム、マンションの購入でよく見かける頭金について解説しました。多くのメリットがある中で、デメリットやひとりで全てをこなすのは難しいことが分かったのではないでしょうか。
ひとりで抱え込まずに、そういう面に特化したプロのファイナンシャルプランナーに相談するのもひとつの手段といえるでしょう。