フラット35の仕組みと利用条件

「フラット35」という名称が正式に使われるようになったのは、2004年も押し迫った12月のことです。その後2007年3月を以って住宅金融公庫は業務を終了し、同年4月には独立行政法人住宅金融支援機構が誕生します。フラット35が新しい政府系金融機関の名の下に、正式に取り扱い業務をスタートさせてから10年が経過しました。ここであらためて、フラット35の概要について解説してみましょう。

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住宅ローンの証券化とは

「フラット35」の魅力は、契約時の金利が35年間変わらないことに集約されるといっていいでしょう。

フラット35が出てきた当時は、まだ銀行の固定金利選択型住宅ローンに人気があり、純粋な固定金利の住宅ローンといえば、11年目以降突然金利設定が高くなる公庫融資しかありませんでした。

フラット35の金利はその当時3%台だったと記憶していますが、当時の感覚では信じられないほど安いという実感がありました。それは、単純に今はなき公庫融資と比較していたのかもしれません。

ただフラット35が、35年間もの長期間にわたり同じ金利が維持できるのは、フラット35が証券化という仕組みで資金調達できていることに関係しています。

フラット35の証券化のキーワードは代理販売

フラット35の証券化とは端的にいうと、住宅金融支援機構のフラット35という住宅ローンを銀行(受託金融機関)に代理販売させていることです。これで住宅ローンの証券化をすべて説明できたわけではありませんが、代理販売が証券化のキーワードだということをまず理解しておきましょう。

次に住宅金融支援機構は受託金融機関に、代理販売させたローン債権を買い取る約束をします。そして債務者に融資された住宅資金は、最終的に機構が債権として買い取ります。

つまり機構に代わって代理販売するフラット35は、銀行側は貸し倒れとなるリスクを一切負わないで良いことになります。これはフラット35を代理販売する銀行にとって大きなメリットになります。

証券化されたフラット35は金融市場で信用力の高い債券

住宅金融支援機構に買い取られた債権は、金融市場で機関投資家に販売されます。

証券化とは支払いが約束された債券のことで、その資金は最終的に住宅を建てたりマンションを購入する資金として還元されるわけです。

以上がフラット35の証券化です。

なお機関投資家はほとんどが生命保険会社で、機関投資家は保険金を支払うために、預かった資産を運用しなければなりません。

ところで同じ住宅ローンの証券化で問題となったサブプライムローンは、住宅ローンが払えない人の債券を証券化したため問題となりました。

しかし日本のフラット35は国債よりも利回りがよく、信用力もある債権です。

もちろん機関投資家からも人気の高い債券であり、サブプライムローンのような問題債券はありません。

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フラット35には「買取型」「保証型」がある

フラット35には「買取型」「保証型」があることは知っている方もいるでしょう。ただこれまでフラット35というと「買取型」一辺倒な部分が多かったのです。それが2016年、2017年と史上最低の低金利を経験したことで、フラット35の利用者も増え、その結果「保証型」も見直される気運が高まりました。

「買取型」「保証型」の違い

フラット35の「買取型」とは前項で説明したように、ローン債権を買い取るのが「買取型」ですが、「保証型」はこれまで住宅金融支援機構が行っていた証券化や債券の販売も受託金融機関が行います。

また「保証型」の違いは「買取型」と比較すると金融機関が独自性を打ち出している点です。「保証型」を選ぶには「買取型」では得られないポイントに着目しなければ意味がありません。

また「保証型」が証券化した場合、信用力の点では「買取型」に比べて不利です。そこで住宅ローン返済と機関投資家への支払を、機構の保険を使うとこで機構の保証を得るようにしています。「保証型」の保証とは、機構の保証を得て業務が行わなわれていることを指します。

新規取扱を行っている「保証型」のモーゲージバンクは3つ

フラット35の「保証型」で現在新規取扱を行っているのは以下の3つの金融機関です。

・アルヒ株式会社(旧SBIモーゲージ)

・日本住宅ローン株式会社

・財形住宅金融株式会社

役所や勤務先が大きい企業では、財形住宅融資の「財住金フラット35」が使えるので、家族ぐるみで古くからお世話になっている方もいるでしょう。

ホームページをご覧になると「買取型」より金利の面で相当なメリットを感じると思います。

なおフラット35の「保証型」では、抵当権者は融資を行った金融機関になります。いっぽうで「買取型」は住宅金融支援機構が抵当権者です。この辺りの違いも認識しておきたいところです。

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フラット35の利用条件

フラット35は融資申込者を広く募る目的から、2017年10月より利用条件をこれまでより簡素化しました。

ただ利用条件を簡素化して記載しても、申込者の返済能力を厳しい基準でチェックしていることは、フラット35であっても銀行独自のローンでも同じです。

フラット35の利用条件は税込年収が400万円未満の方なら総返済負担率が30%、400万円以上の方は35%と大まかに指定していますが、もちろんこれが融資条件のすべてではありません。

フラット35も利用条件の記載どおり融資するわけではない

現行のフラット35の融資限度は物件価格の9割です。そのため年収が700万円の方でも、物件価格が4500万なら4050万円が限度なります。

またフラット35の他に教育ローンに200万円、自動車ローンに100万円借りていた場合は、融資限度額は4040万ではなく3750万円に減額されます。50万円のカードローンと50万円のクレジットカードのキャッシングがあれば、限度額はさらに下がって3650万円です。

しかもこれは上限ということですから、マイナスにつながる要素があれば、融資可能額はもう少し下がるかもしれません。

まずカードローンとクレジットカードのキャッシングに合計100万円の債務あれば、審査以前に銀行側から100万円の返済を促す要請を受けるでしょう。

少し前にフラット35は物件価格の100%融資に変えたようですが、融資の現場を知っている人はそんなことは信じません。仮に100%融資が可能だとしても、賢明なローン申込者ほど100%融資など最初から拒否するでしょう。

フラット35の融資条件がどれだけ簡素化しようとも、そのまま解釈するのはとても危険です。

住宅ローンがデフォルトをおこすことは、ユーザーはもとより、銀行側も避けたいと考えています。それは、たとえ機構から代理販売しているフラット35(買取型)であっても同じなのです。

収入合算の利用条件について

フラット35の収入合算は、収入合算者の年収の全額まで可能としながらも、合算額が収入合算者の年収の50%を超えるときは、返済期間が短くなる場合があるようです。

これはホームページにも書いてあるのですが、年収が400万円の申込者(30歳の息子)が年収600万円の父(55歳)と合算してローンを申し込む場合は、24年が返済年数となるようです。

返済年数の出し方は【80歳-56歳(55+1)=24年間】と計算でも出せますし、年収が多い父をローン申込者と考えることで、24年を返済年数とします。

また父の合算金額が半分の300万円以下とすると、返済年数は通常の35年返済が選べます。

なおフラット35で収入合算できる方は70歳未満の同居親族、または配偶者で、且つ連帯債務者となれる方です。

フラット35は収入合算を選択する方は多いと思います。細かいことですが覚えておきましょう。

高性能住宅の金利を優遇!【フラット35】Sの利用条件は?

フラット35には、当該住宅が一定の高性能住宅に該当すると、借入金利を一定期間引き下げる【フラット35】Sが利用できます。

【フラット35】Sには、金利タイプはA、B(それぞれ中古タイプも共通)と【中古タイプ基準】があります。

金利タイプはA、Bと【中古タイプ基準】は、それぞれが高性能住宅のいずれかに該当すると、金利タイプAは当初10年間、金利タイプBと【中古タイプ基準】は当初5年間、金利が25%金利が優遇されます。

各性能住宅の基準はフラット35のホームページに記載されています。性能住宅に関心がある方は、ぜひ参考に目を通しておくことをおすすめします。

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新機構団信とは

団体信用生命保険は保険加入者が住宅ローンの償還中に万が一のことがあった場合に、保険会社を通じて金融機関へ住宅ローンの残債が支払われる仕組みです。

機構は公庫の時代から、団体信用生命保険の特約料を年払いで振り込まなければなりませんでした。それが2017年10月1日から、銀行独自の住宅ローンのように、保険料を金利に上乗せして利用できるように変わりました。新機構団信とはフラット35の新しい団信制度のことです。

新機構団信になって何が変わったの?

新機構団信になると、たしかに金利上乗せ分の上昇は受け入れることになりますが、毎年まとまった費用負担がなくなりますし、支払を忘れて保障が受けられなくなる心配もありません。

また新機構団信になってから保険金の支払事由が大きく変更しました。

以前は死亡または所定の「高度障害」状態にならなければ保険金が下りなったのですが、新機構団信では死亡または所定の「身体障害」状態になった場合に変わったのです。

ただ保険金が支払われるためには保険会社の審査が入り、所定の「身体障害」状態になったかどうかの判断は、実際の障害状態を見なければ分からない面があります。しかし、新機構団信になって所定の「身体障害」状態を認める方向に変わったことは大きな前進です。

なお新機構団信の定める「身体障害状態」とは、身体障害者福祉法の障害級別が「1級」または「2級」の障害に該当し、かつ、身体障害者手帳の交付を受けた状態を指します。

新3大疾病付機構団信でも介護保障が拡充される

2017年10月1日からはじまった新3大疾病付機構団信ですが、こちらを付保すると、がん、急性心筋梗塞、脳卒中が原因で一定の要件に達した場合はもちろんのこと、要介護保障が新たに受けられるようになりました。このことも新機構団信になって大きく変わった点です。

新3大疾病付機構団信の要介護保障は、公的介護保険制度による「要介護2」から「要介護5」までのいずれかに該当し認定される必要があります。

「要介護2」以上に該当すると判定するには、自宅(または入院先)での判定員による判定のほか、一次判定、介護認定審査会による二次判定などを経なければならず、保障が該当するかどうかは微妙な面はあります。

ただ「要介護2」であれば、比較的軽度の介護状態でも該当する可能性はあります。従って検討はする価値は十分あるでしょう。

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まとめ

前半ではフラット35の証券化の仕組みと「買取型」「保証型」の違いを、出来るだけ理解しやすく解説してみました。これまでフラット35の証券化がいまいち理解できずにいた方も、今度こそ腑に落ちるように書いたつもりです。

最後になりますが、金利上昇の局面ではフラット35「買取型」より「保証型」のほうが、金利面でよりメリットが出ます。

本文では詳しく触れていませんが、各自でホームページをぜひともチェックしてください。