目次
この記事では、
・住宅ローンの事前審査は、住宅探しの段階で行なう方がよい場合もある
・複数の金融機関に事前審査を依頼するのは、メリットもデメリットもある
・事前審査をスムーズに進めるために、前もって必要な書類を用意しておこう
・事前審査は申し込みから1週間前後で結果が出るのが一般的
・事前審査が通らなかった場合、必ず理由がある
・住宅ローンの審査は事前審査だけではなく、本審査もある
・本審査では事前審査とは別の書類を用意する必要がある
・事前審査をクリアしても本審査が通らないケースもあるので要注意!
といった内容について、詳しく解説していきます。
住宅探しをする前に、この記事で住宅ローンの事前審査についてチェックし、住宅ローンの審査に向けてしっかり準備を整えておきましょう!
住宅ローンの事前審査のタイミング
夢のマイホームを購入するために必要な住宅ローン。住宅ローンの事前審査は、いつ申し込むのがベストなのでしょうか。
一般的に、住宅ローンを組むために事前審査を申請するタイミングとして多いのが、物件の価格が概ね決まったとき。建売住宅や分譲マンションの場合だと、価格がだいたい決まっているので、その物件を購入したいと思ったときに、住宅ローンの事前審査を申請する人が多いようです。
また、注文住宅の場合、希望の間取りなどから建築費用をおおまかに見積もってから住宅ローンの事前審査に申し込むケースが多くみられます。このように、多くの人は、物件や建築費用が決まってから事前審査を申し込んでいるようです。
しかし、住宅ローンの事前審査の申請にベストなタイミングは、実は「家を探し始めたとき」なのです。住宅ローンの事前審査は、購入する住宅が決まっていなくても申請することができます。
家を探している段階で、自分がどの程度のローンであれば借入することができるのかを知っておくことで、返済に無理のない範囲の価格の物件に絞ることができます。
自分が気に入った物件を見つけても、住宅ローンが組めないと白紙に戻ってしまいますし、このような時間の無駄を省くためにも、最近では、売り主が契約前に住宅ローンの審査を済ませておくようにお願いしている場合もあります。
安心して契約を進めるために、住宅ローンの事前審査は早めに終わらせるのが吉でしょう。
住宅ローンの事前審査は複数申し込める?
住宅ローンと一口に言っても、さまざまな金融機関から多くの住宅ローン商品が販売されています。どれを選ぶかは住宅ローンを組む人の自由ですが、金融機関はお金を貸すというリスクがあるため、住宅ローンを組む人が本当に返済能力を持っているのかどうかをしっかりチェックします。
そのため、金融機関やそれぞれの商品によっては審査が厳しく、住宅ローンの事前審査が通らないおそれもあるのです。
しかし、ある金融機関の住宅ローンの事前審査に通らなかったとしても、別の金融機関の事前審査をパスできる可能性は十分にあります。したがって、「住宅ローンの事前審査が通るかどうか不安」という人は、複数の金融機関に事前審査をお願いするのもよいでしょう。
ただし、事前審査を複数の金融機関に申請することには、メリットもあればデメリットもあります。その両方について確認していきましょう。
複数申し込むメリット
住宅ローンの事前審査を複数の金融機関に申し込むことのメリットとしては、それぞれの商品を比較できることが挙げられます。金利や借入可能額などを比べて選ぶことができるので、自分が納得できる住宅ローンを組むことができる可能性が高まります。
また、一般的に住宅ローンの事前審査は、申請から結果が出るまでに1週間ほど時間がかかります。A社がダメだったからB社、B社がダメだったからC社、…といったように1社ずつ申し込んでいると、時間も手間もかかってしまいますね。一度に複数の金融機関に申し込んでいれば、その時間や手間も節約することができます。
そして、住宅ローンを複数検討していることを金融機関に伝えることで、金利や借入額などの条件がよくなる場合もあります。交渉材料としても使えるというわけですね。
複数申し込むデメリット
住宅ローンの事前審査を複数の金融機関に申し込む場合に気を付けたいのが、あまりにも多くの金融機関で事前審査が通らなかったという結果が出ることです。事前審査をパスできないと、その内容が個人信用情報に登録されてしまいます。
つまり、複数の金融機関で事前審査をパスできないと、個人信用情報に登録される件数も増えるため、個人信用情報の内容が悪くなり、次にローンを組むときに不利になるおそれがあるというデメリットがあるということです。
また、事前審査の申し込みに必要な書類を、各金融機関にそれぞれ用意しなければいけないので、事前審査を申し込む金融機関が多ければ多いほど、一度にかかってくる負担は大きくなります。
複数申し込むメリットもある事前審査ですが、あまりにも多くの金融機関に申し込みをするのは避けたほうがよいでしょう。
住宅ローン事前審査に必要な書類は?
住宅ローンの事前審査では、住宅ローンを貸し出す金融機関が、購入する物件の内容、ローンを組む人の職業や年収をチェックし、貸し出す金額が妥当なのか、ローンを組む人にローンの返済能力があるのかなどといったポイントを確認します。
その確認をするため、住宅ローンを組みたい人は、いくつか書類などを準備する必要があります。それでは、住宅ローンの事前審査に必要な書類などには何があるのか、みていきましょう。
・本人確認書類:運転免許証など(運転免許証の場合、オモテ面とウラ面のコピーが必要)
・健康保険証:オモテ面とウラ面のコピー
・源泉徴収票の写し(個人事業主などの場合は確定申告書の写し、必要に応じて会社決算書の写し)
・認印(シャチハタはNG)
・物件資料
大抵は自分で保管しているものがほとんどですね。直近の源泉徴収票を紛失してしまった場合、職場に問い合わせて再発行してもらいましょう。
住宅ローン事前審査の結果はいつどうやって来る?
住宅ローンの事前審査に申し込むと、やはり気になるのが審査の結果でしょう。住宅ローンの事前審査の結果は、いつどのようにして伝えられるのでしょうか。
まず、事前審査の結果の連絡方法ですが、金融機関によって異なるものの、電話や郵送で通達される場合が多いようです。事前審査にかかる日数は、金融機関によっても異なりますし、申し込んだ人の状況や借入金額によっても変わってきますが、概ね1週間程度が目安となっています。
言い換えれば、事前審査に1週間以上かかっていれば、住宅ローンを組むうえで何らかの問題があったと考えられるのです。もちろん、金融機関からの連絡漏れということも考えられますので、あまりにも連絡が遅い場合は、金融機関に問い合わせをすることをオススメします。
住宅ローンの事前審査で落ちたのはなぜ?
住宅ローンの事前審査は、ローンを組む人に一定以上の収入があり、ローンを返済する能力があるかどうか、すなわち金銭的に信用できる人物なのかどうかをチェックされます。定職に就いている人で、常識的な借入金額を設定したのであれば、事前審査で落ちることはあまりありません。
定職に就いているにもかかわらず、住宅ローンの事前審査に落ちたという人は、他に何らかの原因があるはずです。住宅ローンの事前審査にパスできない理由について、詳しく確認していきましょう。
まず、住宅ローンの事前審査に通るのが絶望的に無理になるケースが1つあります。それは、「指定信用情報機関に『異動』の文字があること」です。
このケースに該当すると、いくら安定している公務員や、将来が約束されているような大手企業に勤めていても、一発アウトで住宅ローンの事前審査に落ちてしまいます。
指定信用情報機関の「異動」とは、わかりやすくいえば「ブラックリスト入り」ということ。クレジットカードの支払いを61日以上延滞してしまったりすると、個人信用情報に「異動」と書き込まれてしまうことがあります。
自分の個人信用情報は、CIC(割賦販売法・貸金業指定信用情報機関)やJICC(株式会社日本信用情報機構)といった指定信用情報機関のwebサイトから請求することができるので、心当たりがある人や不安な人は確認しておいた方がよいでしょう。
また、一発でアウトにはならないものの、いくつかの条件が重なると事前審査に通らなくなるという条件も存在します。このような条件に複数当てはまるからといって、必ずしも事前審査に落ちるわけではありませんが、事前審査をパスできないリスクが高まるということは覚えておきましょう。
【消費者金融に借り入れがある】
金融機関によっては、消費者金融からの借り入れがあると事前審査に落ちてしまう場合があります。特に消費者金融でキャッシングを行なっている場合、メガバンクの住宅ローンには通らない可能性が非常に高くなるので、注意が必要です。
また、実際にキャッシングしていなくても、クレジットカードのキャッシング枠を借金とみなして計算する金融機関もあります。特に、複数のクレジットカードを持っているという人は、その点に注意を払いましょう。
キャッシング枠があるクレジットカードを持っていることをあらかじめ金融機関に伝えておいたり、使っていないクレジットカードであれば解約したりといった対策をしておくとよいですね。
さらに、現在は消費者金融から借り入れしていなくても、過去に借り入れをしていて返済が遅れてしまったということが何度かあれば、メガバンク以外の金融機関でも住宅ローンの事前審査に通過することは難しくなってしまいます。心当たりがある人や不安な人は、個人信用情報を確認しておいた方がよいでしょう
【これから組もうとしている住宅ローン以外にもローンがある】
消費者金融からの借り入れがなくても、これから組もうとしている住宅ローン以外にもローンがある場合も、住宅ローンの事前審査をパスできない可能性が上がってしまいます。自動車のローンやリボ払いなどといったローンは、住宅ローンを組む前に払い終わっておきたいですね。
【勤続年数が短い】
金融機関にもよりますが、多くの金融機関が販売している住宅ローンの申し込み条件には「勤続3年以上」という条件があります。勤続年数は、1つの会社で安定して働くことができている、つまり今後も定収入が見込めるという指標でもあるので、申し込み条件の1つとなるのは当然といえるでしょう。
いくら高収入でも、勤続1年未満などといったように勤続年数が短ければ、事前審査に落ちてしまう可能性が高まります。
「勤続年数をごまかしてもわからないだろう」と、金融機関を侮ってはいけません。健康保険証の加入年月日で入社日が確認できるので、正しい勤続年数がばれてしまいます。ばれてしまうだけにとどまらず、嘘をついたことで心証も悪くなりますので、絶対に虚偽の記載をしないようにしてください。
【年収が低い】
それぞれの金融機関では、住宅ローンを組む人の条件として最低年収を設定しています。金融機関によって、設定されている最低年収は異なりますが、地方銀行よりもメガバンクの方が、審査に通過できる最低年収を高く設定している傾向があります。
【離婚したばかり】
離婚と住宅ローンはあまり関係ないようにみえますね。しかし、離婚に伴って発生する金銭負担があるのではないかと金融機関は考えるのです。慰謝料や養育費でローンの返済に影響が出てしまうと、困るのは金融機関ですので慎重にならざるを得ないというわけです。
1年以内に離婚したのであれば、特に要注意。金融機関に提出する源泉徴収票には、扶養家族の欄があり、元配偶者や子どもが扶養に入っていた場合、そこに元配偶者や子どもの名前が記載されています。そこから、離婚して間もないことがわかってしまうのです。
【税金を払っていない】
金融機関は、住民税や所得税などの税金を納めていない人には非常に厳しく、税金を納めていない人は住宅ローンの事前審査も落ちてしまうおそれが非常に高くなります。
普通、一般的な会社員であれば、住民税や所得税は源泉徴収されるため、税金が未納になっているということはほとんどありません。しかし、給与所得以外に収入があったり、個人で事業をしていて一定の収入があったりするにもかかわらず確定申告をしていない場合は、納めるべき税金を納めていないことになります。
税金は、本来真っ先に収めるべきもの。したがって、金融機関の取り立てよりも税務署の取り立てが優先されます。そうなると、金融機関が住宅ローンで貸し付けた分のお金を回収することが難しくなります。「納税」という国民の義務を果たしていない人には、金融機関も厳しいのですね。納めていない税金がある場合には、事前審査に申し込む前に必ず全額納めておきましょう。
「指定信用情報機関に『異動』の文字があること」以外の要因が1つあったとしても、すべての金融機関の事前審査に落ちるわけではありません。複数の要因を持っている場合は、解消できるものはすべて解消してから事前審査を申し込むようにすると、個人信用情報の悪化も防ぐことができます。
住宅ローンの事前審査に通過したら本審査
無事に住宅ローンの事前審査に通過したら、今度は住宅ローンの本審査を受けることになります。今までにご説明した通り、事前審査は、ローンを組む人に返済能力があるかどうか、金銭的に信用できる人物かどうかをチェックするための審査。住宅ローンの本審査では、何についてチェックされるのでしょうか。
本審査は、物件の売買契約を結んだあとに、正式にローンの申し込みをすると行なわれる審査です。事前審査は金融機関が行なうものですが、本審査は、金融機関に加えて、ローンを組んでいる人がローンを返すことができなくなった場合に代わりに返済する機関である保証会社も審査を行います。
本審査でチェックされるポイントは、「担保物件に相応の価値があるかどうか」「団体信用生命保険に加入できる健康状態にあるかどうか」「事前審査の書類に虚偽がないかどうか」「事前審査と本審査で個人信用情報の内容に変更がないか」といった点です。それぞれについて、簡単にみていきましょう。
まず、購入する物件を住宅ローンの担保にする場合、担保にするに値する価値のある物件かどうかチェックされます。新築物件はそれほど問題ありませんが、中古物件の場合は借入金額に見合う評価が出ない場合もあります。その場合は、物件の担保金額までしか住宅ローンを組めないこともあるので注意が必要です。
また、住宅ローンを組むときには、ほとんどの人が団体信用生命保険(団信)に加入します。団信とは、住宅ローンを返済している間に、住宅ローンを組んだ人が亡くなったり、高度障害を負ったりした場合に、生命保険会社が残りのローンを代わりに返済してくれるというもの。
生命保険の一種ですので、現在の健康状態を確認する必要があるというわけですね。一方、住宅ローンを組む段階で、死亡や高度障害につながるような持病を持っているなどのリスクがあると、団信に加入することは難しくなってしまいます。
事前審査とは別に行われる本審査ですが、事前審査の内容が全く関係ないわけではありません。事前審査の内容に偽りがないかどうか、本審査で再度確認されますし、事前審査のときと本審査のときで個人信用情報に変わりがないかどうかもチェックされます。
特に、事前審査が通ったからといって、さっそく消費者金融から借り入れをするなど、個人信用情報にかかわってくる行動をしないように気を付けましょう。
本審査で必要な書類は事前審査とは別に用意
先ほどお伝えした通り、事前審査と本審査では、チェックされる内容が少し異なります。そのため、用意する書類も事前審査のときと少し異なっていたり、事前審査よりも多くの書類を用意しなければならなかったりします。では、本審査に必要な書類にはどのようなものがあるのでしょうか。
本審査に必要なおもな書類は、次の通りです。
・本人確認書類(運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど)
・健康保険証
・実印および印鑑証明書
・住宅ローンの申込書
・団信の申込書兼告知書
・収入を証明することができる書類(源泉徴収票や確定申告書の写し)
・物件の価格がわかるもの(見積書やパンフレットなど)
・物件についての書類(間取り図、売買契約書の写し、物件の登記事項証明書など)
また、自動車のローンなど、これから組もうとしているローン以外の借り入れがある人は、契約内容やローンの残高がわかる書類を用意しておきましょう。
事前審査には通ったのに本審査で落ちることも
「事前審査は通ったし、本審査も大丈夫だろう」と思う人も少なくないでしょう。しかし、事前審査と本審査ではチェックするポイントが異なりますし、事前審査と本審査の間で問題のある行動をすれば、本審査で落ちる場合があります。
それでは、事前審査をパスしたのに本審査で落ちてしまう原因になる問題行動をみていきましょう。
まず、事前審査のあとに消費者金融から新たに借り入れをするなど、借金を作ってしまうと本審査に落ちてしまう可能性が高まります。また、クレジットカードなどの返済が遅れてしまっているなど、個人信用情報が悪化するような行動も、本審査に落ちてしまう原因になってしまいます。
住宅ローンを組む際には、ローンを組む人の金銭的な信用が不可欠です。借金や支払いの延滞は、金銭的信用を著しく損ねてしまいますので、事前審査をパスしたからといって油断しないようにしましょう。
事前審査のあとに退職した場合も、本審査に落ちる確率が高まります。退職後、すぐに再就職することができていても、本審査をパスするのは難しくなってしまいます。退職後に無職になったのであれば、いわずもがなです。
ただし、転職した結果、キャリアアップにつながったり、より収入の高い職に就いたりしていれば、本審査も通過できる可能性があります。しかし、いずれにしても住宅ローンの審査中の退職・転職はリスクを伴いますので、可能な限り避けたほうが無難です。
そして、事前審査と本審査とで、提出書類の内容が異なっていることも、本審査を通過できない原因となります。提出する書類は、必ず正しい情報を記入する必要があります。つまり、事前審査と本審査で内容に整合性がとれないと、どちらかの書類に虚偽の情報が記載されているのではないかと思われてしまいます。
そうなると、金融機関や保証会社、保険会社からも信用できない人物とみなされてしまうため、本審査に通らなくなってしまうのです。事前審査でも本審査でも、虚偽の内容やそれぞれに大きく異なる内容を記入しないようにしましょう。
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まとめ
いかがでしたか?夢のマイホームの第一歩である住宅ローンの申し込みは、住宅探しの段階で事前審査を受けることから始まります。住宅ローンの事前審査や本審査は、収入のある人であれば必ず通るような生やさしいものではありません。
特に、事前審査では、現在の借り入れ状況や職業・収入、勤続年数など、金銭的に信用できる人物かどうかを確認されるので、借金や未納の税金などがある場合はすべて解決しておくなど、対策しておく必要がある人もいます。
マイホームを手に入れるために、住宅ローンの事前審査やそれに続く本審査は、避けて通ることができません。これらの審査に落ちないための対策をしっかり立てたり、書類を不備なく用意したりして、スムーズに住宅ローンを組めるようにしたいですね。