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一軒家の購入の窓口業者は不動産会社と建築会社に分かれる
一軒家を購入する際、利用者が相談窓口として設定するものに不動産会社と建築会社があります。
そして不動産会社には大手から地域の不動産会社までありますし、建築会社には大手のハウスメーカーから、地域にも工務店や地域のホームビルダー(あるいは建築事務所)が存在します。
また最近では地域の不動産家でも建築工事を同時に請負う会社もありますし、地域の工務店にも土地の売買を行うところも出てきました。
建築に関する機能と不動産会社の機能を併せ持つ利点は、土地・建物をワンストップで扱えることにありますが、ここでは建売分譲を探すなら不動産会社、注文住宅なら建築会社や工務店というように、シンプルな区分けに徹してみました。
完成品を見て購入を決断できる建売住宅
一軒家を購入する場合、手っ取り早い方法として分譲戸建ての一軒家を買う方法が挙げられます。
分譲戸建ては呼び方が複数あり、建売住宅や分譲住宅ともいわれたり、土地付きの一戸建てなどと呼ぶ場合もあります。ここでは建売住宅と統一しましょう。
建売住宅を探す場合は建築会社ではなく不動産会社を当ります。
ただ、むかしは不動産会社が自社で購入した分譲地に建売住宅を建てて販売したものが多かったのですが、プレハブメーカー(積水ハウスや大和ハウスなどハウスメーカー大手)が販売する建売住宅も人気です。
ここまで説明すると、住宅の種別に疎い方でも「なるほど、あれね」と建売住宅がイメージできたのではないでしょうか。
建売住宅の特徴はすでに間取りや仕様が決まっていることですが、言い換えると注文住宅と違って完成品を見て購入を決断できます。
そのためはじめて住宅を取得する方には、ビギナーズモデルとなりやすいのが利点です。また建売住宅は売買契約から購入までがワンストップで済むので、時間はもちろんですが、費用的にもいちばんかかりません。そうした意味でも建売住宅は住宅ビギナーにおすすめです。
頭金(現金)っていくらぐらい必要なの
一般の人が建売住宅を購入すると決めた場合、頭金がどのくらい必要なのかが、いちばんはじめに悩むことでしょう。頭金は別の言葉で言い換えると現金のことです。よく「頭金なし住宅が買える」ということを聞きますが、まったく貯金もない人が住宅を買うのはどう考えても無理です。
むかしの公庫融資の時代では、物件価格の最低2割を自己資金で用意しておく必要がありました。当時は金利も高く、住宅購入は年収の5倍までが限度といわれた時代です。そして残りの8割を公庫ローンで賄っていたわけです。
いまはどうでしょう。よくいわれるのは「最低でも諸費用分ぐらいは準備しなけりゃ無理」という言葉です。
諸費用とは不動産会社と契約したり、住宅ローンを申し込むと別途かかる費用のことで、金額は100万から200万ぐらいかかってきます。一軒家を購入するのなら、諸費用として200万ぐらいを別途用意しておくのが普通です。
また頭金は諸費用だけ用意しておけば良いわけではありません。たとえば、フラット35なら物件価格の9割まで融資してくれます。土地建物で3000万円かかる計画の場合は、2700万円までを住宅ローンで準備することになります。従って必要な現金は450万円から500万円というところです。
ただこれには、引越し費用や新居にあった家具の購入代金は見込んでいません。またこの計画は2700万を借りられた場合の計画です。そう考えると、物件価格の2割は現金で用意しておくことはむかしから変わらない真理でもあるのです。これは親から支援が幾らか見込めた場合でも、目標として意識しておきましょう。
諸費用の内訳は(建売住宅を購入する場合)
それでは100万円から200万円程度かかるといわれる諸費用が、試算上いくらぐらいかかるか計算してみます。
一応、住所地は札幌市としてみました。
土地面積は60坪、建物は高耐久木造住宅で床面積は約36.6坪の2階建て、物件価格は3,000万円(税込)。住宅ローンは2,400万円を用意した想定です。
【売買契約に際して必要になる諸費用】
<手付金>
物件価格の5%〜10%が手付金の相場ですが、一律100万でも良いという不動産業者もあります(実感として圧倒的にこちらのほうが多い)。
いずれにしても手付金は物件価格の一部に充当されるお金です。そのため純粋の土地建物以外の費用を求めるのなら手付金は計算から除外しても良いでしょう。ここでは手付金として100万円を充当することにします。
また引き渡しをキャンセルすると手付金は戻ってきませんが、融資特約をつけておくと、融資が下りなかった場合に手付金は買主に戻ってきます。万一のことを考えて、融資特約はぜひ付けておきましょう。
<印紙代(売買契約分)>
建売住宅の売買契約書の貼る印紙代の費用です。
契約金額が1000万から5000万円までなら印紙税は2万円ですが、現在軽減措置があることから半分の1万円で良いことになっています。
<登記費用>
建売住宅の建物表題登記、所有権保存登記、土地の所有権移転登記分ですが、通常は住宅ローンの抵当権設定登記と一緒に行います。物件価格が3000万円なら建物の表題、所有権保存登記、土地の所有権移転登記、そして後半で出てくる抵当権設定料も含めても30万ほど見ておけば間に合うでしょう。
<固定資産税・都市計画税日割り精算>
すでに払い込まれている固定資産税・都市計画の日割り分を売主に精算します。金額は3万円としておきます。
【売買契約に際して必要になる諸費用】はこれで締めて、小計で131万円かかりました。
【住宅ローンの借り入れで必要になる諸費用】
次のローンにかかる諸費用です。通常は諸費用というとこちらの金額を指すことが多くなります。
<事務手数料>
事務手数料は融資手数料ともいいます。
金額は3万円✕消費税(平成28年現在は32,400円)ですが、保証料を徴収しない(実質無料)ネット銀行は事務手数料を融資金額✕2.16%とするところもあります。もちろん通算金額はそれほどの違いはありません。
金額は32,400円としておきましょう。
<保証料>
ローン申込み者の属性によって金額に差をつけるようになった保証料ですが、先ほども触れたとおりネット銀行を中心に保証料をゼロにする代わりに事務手数料を高く設定しているケースが多く見られます。
ただ短期返済を考えている方は、多少でも戻り分がある都市銀行型の保証料のほうがおトクかもしれません。ここでは2400万円を住宅ローンで借りましたので、保証料は60万円かかったと想定しておきます。
<抵当権設定料>
抵当権設定料は30数坪の建売住宅なら、登録免許税と司法書士報酬込みの金額で10万まではかからないでしょう。
ただ、売買契約時の所有権移転登記と併せて行うのであれば、ここの抵当権設定登記費用は不要になります。
<印紙代(金消契約分)>
この印紙代は、銀行とローン契約(金銭消費貸借契約)を締結する際に契約書に貼る印紙代で、金額は20,400円です(金消契約分の印紙税は2万円ですが、200円 × 2枚は自動引落に関する同意書等に使います)。
<団信生保料>
団信生保料は金利に含まれていますので別途掛かることはありません。
なおフラット35も2017年の10月から新機構団信に変わり、団信特約料は月々の支払いに含まれるようになりました。従って特約料の年払いでの払い込みはなくなりまし。
<火災保険料>
火災保険料が10年更新になったのは2015年10月からです。
以前は35年や30年返済を選ぶと、35年や30年を一括で払い込まなければいけませんでした。
それがいまでは10年更新に義務付けられたので、ユーザーにとってはかえって良い変更となったでしょう。なぜなら保険料率が高い地域の火災保険は、一括で払い込むと100万円近くになることも多かったからです。ここでは10年で20万円掛かったものとしておきましょう。
どうして10年更新に変わったのかというと、一括契約をすると損保会社が損をしてしまうからです。東日本大震災の影響が相当大きかったのでしょう。なお再調達価額(新価)で契約する点は以前と変わりません。
【住宅ローンの借り入れで必要になる諸費用】の小計で852,800円かかったことになります。
以上、諸費用合計で約216万円かかったことになります(手付金を抜くと116万円です)。
なお、マンションも建売とほとんど同じ構成で諸費用を算出できますが、マンションの場合は、管理費・修繕積立金が2か月分徴収されるのと、修繕積立基金が別途掛かります。管理費・修繕積立金は2万前後ですが、修繕積立基金は20万から40万円ぐらいはみておく必要があります。
またマンションは鉄筋コンクリート造となり構造的に火災保険料がかえって割安になります。そのため、地域によっては10万円前後でおさまるでしょう。
自らも家づくりに参加できる注文住宅
次は注文住宅についても説明しておきます。
消費税導入を目前に、密かに注目されているのが注文住宅です。
注文住宅の利点は自由なカスタマイズ性です。そして自らも家づくりに参加できる注文住宅は、引き渡し時期には施主お一人をすっかり「建築好き」にしてしまうぐらい魅力的な体験となります。そのため建築会社との相性も重要なポイントになります。
注文住宅も建売住宅も諸費用の構成はほとんど変わりません。とくに【住宅ローンの借り入れで必要になる諸費用】のほうは、このまま流用できます。しかし不動産会社と工務店・ハウスメーカーは業態が異なります。従って【売買契約に際して必要になる諸費用】は【工事請負契約に際して必要になる諸費用】に変えなければいけません。
では【工事請負契約に際して必要になる諸費用】について内訳を解説していきます。
諸費用の内訳は(注文住宅を購入する場合)
札幌市内の第一種住居専用地域に60坪の土地を購入した公務員のご夫婦が、家族4人で住む住宅を某ハウスメーカーで設計を依頼した想定で話を進めたとしましょう。
【工事請負契約に際して必要になる諸費用】
<仮契約金>
建築会社の仮契約は本契約を前提とした前段階の契約で、契約の意思表示を示すため一般に仮契約を行います。仮契約の金額は会社によっても違いますが、100万円程度というのが一般的です。
仮契約金は建物本体工事費の一部に充当されますので、建物以外の費用を調べている場合は、仮契約金は計算から除外しても良いでしょう。
なお仮契約時に設計業務委託契約書を書いてもらう場合もありますが、設計事務所のように設計料を取り決めていただくことは、ハウスメーカーや工務店ではほとんどありません。
<契約印紙代>
工事請負契約書に貼付する印紙代です。
契約金額が1000万から5000万円までなら印紙税は2万円ですが、現在軽減措置があることから半分の1万円で良いことになっています。
<諸官庁(代願)手数料・確認申請手数料>
諸官庁(代願)手数料は自治体の建築指導課が行っている確認申請、中間検査、完了検査などの代願手数料として、ハウスメーカーや工務店がお客様からいただく費用のこと。金額的には15万から20万が大体の相場です。
確認申請とは、当該住宅が建築基準法に適合しているかをみる手続きのこと。図面のチェックのほかに、現場に検査員が来て行う中間検査や完了検査もあります。
<住宅瑕疵担保料>
平成21年10月1日より住宅瑕疵担保履行法がスタートし、建築会社は最低でも10年間の瑕疵担保責任を負っています。ただし中小の業者は、JIO等の外部の業者に保険加入または供託を委託しなければなりません。住宅瑕疵担保料とはこの保険料・検査料のことで費用は9万円前後です。
<つなぎ融資利息>
つなぎ融資とは、注文住宅の工事で着工時金や中間金といった必要な資金を一時的に用立てることをいいます。
住宅ローンが実行され次第つなぎ融資は返還されますが、利息は住宅ローンより高くなります。つなぎ融資利息とは、その分の利息差を諸費用でみておきます。ここでは5万ほどかかったとしておきましょう。
【工事請負契約に際して必要になる諸費用】は小計で約130万円となりました。これに【住宅ローンの借り入れで必要になる諸費用】でかかった852,800円に<抵当権設定料>の10万をプラスすると、諸費用合計で約225万円です(仮契約金を抜くと125万円です)。
土地建物、諸費用以外にかかる費用について
土地建物、諸費用以外にかかる費用には、細かくいうと新居に必要な家電製品やインテリアなども考えなくてはなりません。しかし、これらの費用は個人によって必要なものは違ってきますので、費用からは除外しておきます。
ただ、一軒家ということでどのお宅でも最低でもカーテンは必要でしょう。カーテンの費用は床面積✕7,000円程度みておけば、専門業者がプランニングから取り付け工事までやってくれます。カーテンやブラインドはインテリアの質を上げる重要な部分なので、専門業者を使っての取り付け工事をぜひおすすめします。
また注文住宅を建てる場合、地鎮祭・上棟式の費用も気になるところでしょう。
地鎮祭・上棟式の費用も一般的に諸費用には計上しませんが、費用は地域の風習によって上下しますから、前もって直接神社に問合わせるのが確実です。
ただ、担当営業マンも回数をこなしていますから、担当が新人でなければ営業マンに聞くのがいちばんです。
たとえば地鎮祭でいえば、砂などは工事のスタッフが用意してくれるはずです。また神主さんに渡す初穂料は2万円から3万円が相場、お供え物代は5千円前後といったところです。お供え物代を事前に営業マンに渡しておけば用意してくれるでしょう。
上棟式は職人さんもクルマで帰りますから、昨今は現場での乾杯もアルコールは厳しいでしょう。筆者の地域では神主さんは呼ばず、営業と現場監督が中心になって上棟式を行っていました。
そして最後に仕出し屋に注文しておいたお弁当とカップ酒を、現地で職人さんに渡してお開きという感じです。まともにやったとしても、地鎮祭・上棟式の両方で10万は掛からなかったと思います。
不動産を買う時は、売る時のことも考えることが大切!
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まとめ
一軒家の購入費用についてみてきたわけですが、参考になりましたでしょうか。
今回は予算の全体像を掴んでもらうために、土地建物の費用は分かりやすく3000万と固定してみたわけですが、注文住宅の場合は標準仕様のまま契約することは稀で、何かしら追加工事が発生します。
たとえば注文住宅は、建てる前に土地の地盤調査を行います。そして地耐力に問題があれば、パイル(杭打ち)工事を行わなければなりません。たとえ標準仕様のまま契約しても、地盤補強工事が発生すれば、別途100万円程度を負担する可能性が十分あります。
追加工事はカーポートの設置などで建売住宅でも発生しますが、注文住宅の場合は特に、追加工事で幾らか予算が膨らむということが往々にしておきてくることは覚えておきましょう。