住宅取得税(不動産取得税)とは
住宅取得税(不動産取得税)とは、有償・無償に限らず、また登記のある・なしにかかわらず、不動産を売買や贈与で取得した場合、または新築や増改修を行った場合などに都道府県によって課税される地方税(都道府県税)です。
納税方法は、不動産取得後半年から1年半くらいの間に、各都道府県から届く納税通知書を用いて金融機関などで納付します。
不動産取得税がかからないケースとは?
不動産を取得した場合であっても、住宅取得税(不動産取得税)が非課税となる場合があります。
ひとつ目は相続による不動産の取得です。不動産取得税は相続によって取得した場合は非課税です。
ふたつ目は、法人の合併もしくは分割の際、また2年以内の債権消滅による譲渡担保財産の移転なども不動産取得税は非課税です。個人の方はあまり関係がないことですが、覚えておきましょう。
住宅取得税(不動産取得税)の免税点
次に掲げる場合も、住宅取得税(不動産取得税)は課税されません。
1. 土地の価格が10万円未満の場合
2. 家屋の価格が23万円未満の場合
3. 売買や贈与等により取得した家屋の価格が12万円未満の場合
不動産取得税の申告は必要?
住宅取得税(不動産取得税)でよくいわれるのが、申告が遅れると税金の軽減措置が受けられなくなるというものです。
ただ登記時に提出する書類等で、都道府県税事務所が軽減措置を受けられるかどうかの判断をしており、通常は自動的に不動産取得税の納税通知書が自宅宛に送られてきます。そのため個人で住宅等の不動産を取得した場合など、申告はとくに必要ありません。
ただし必要な都道府県もあると聞きます。取得地での不動産の購入等がはじめての方は、最寄りの県税事務所に確認してみましょう。
また納税通知書が送られてきても、軽減措置が正しく行われていないことがあります。この場合は税金の軽減措置が間違っていないか、県税事務所に出向いて相談してください。
申告の時期と方法は?
それでは申告が必要な場合の時期と方法について、手短にまとめておきます。
自身で住宅取得税(不動産取得税)を申告する場合は、申告の時期は取得の日から60日以内(東京都は30日以内)に、土地、家屋の所在地を所管する都道府県税事務所にて、備え付けの「不動産取得税課税標準の特例適用申告書」に必要事項を記載し提出します。
なお添付書類として、売買契約書のコピー、建物全部事項証明書(法務局)、住宅用家屋証明書(中古の場合・市区町村役場)などがありますので事前に用意しておきましょう。
不動産取得税の計算の仕方【土地編】
では実際に土地(住宅用地)の不動産取得税を計算してみます。
課税の原則
不動産取得税は以下の式で税額が出てきます。
また不動産取得税の税率は本則が4%です。
・課税標準 × 税率(4%) = 不動産取得税額
軽減税率
2021年3月31日まで軽減措置が敷かれており、住宅用地の税率は3%となっています。
・課税標準 × 税率(3%) = 不動産取得税額
課税標準の特例
さらに住宅用地は課税標準にも控除枠が定められており、課税標準を2分の1に減額した上で、次のいずれか多いほうの額を控除するようになっています。
【控除枠】
A)=45,000円
B)=(土地1㎡当たりの課税標準 × 1/2) × (課税床面積 × 2(200㎡を限度とする)) × 3%
なお宅地の課税標準が2分の1になる特例は、2021年3月31日まで延長されています。
・不動産取得税額= (課税標準 × 1/2 × 3%) - 控除額(下記AかBの多い金額)
ケーススタディ1
土地:600坪(208㎡)、課税標準1,200万円
建物(新築住宅):400坪(149㎡)、課税標準1,400万円
このケースで戸建住宅を建てた場合の土地の不動産取得税はいくらになるか試算してみます。
不動産取得税額= (1,200万円 × 1/2 × 3%) - 173,000円(下記AかBの多い金額)
A)=45,000円
B)=(1,200/208㎡)× 1/2 × (149㎡× 2 or 200㎡を限度) × 3%≒ 173,000円
ゆえに、不動産取得税額は7,000円
不動産取得税の計算の仕方【建物編】
続いて建物の住宅取得税(不動産取得税)について試算してみましょう。
課税の本則は土地と同様ですので、軽減措置の部分から解説していきましょう。
軽減税率
2021年3月31日まで軽減措置が敷かれており、住宅取得にあたって税率は3%となっています。
・課税標準 × 税率(3%) = 不動産取得税額
居住用家屋の特例(課税標準額の特例)
軽減措置の対象となる住宅は、次の要件を満たす必要があります。
・個人の自己所有物件
・床面積が50㎡(共同貸家住宅の場合は40㎡)以上、240㎡以下である
・既存住宅の場合は1982年1月1日以後に新築され、マンションなどの耐火建築物は築後25年以内
・木造等建築物は築後20年以内で、所定の耐震基準を満たしている
3-新築住宅と中古住宅
新築住宅は1,200万円を評価額から控除できます(「1,200万円の控除」として有名。認定長期優良住宅は1,300万円を控除)
・不動産取得税額 = (課税標準 - 1,200万円) × 3%
また、中古住宅(既存住宅)は建築年度に応じて一定額を評価額から控除できます。
なお建築年度が1997年4月1日以降の中古物件は新築と変わらず1,200万円の控除が受けられますが、1997年3月31日以前は控除額が1,000万となり、1989年3月31日以前になると控除額は450万円という具合に、減額枠は段階的に減っていきます。
ケーススタディ2
先程の例を用いて建物(住宅)の不動産取得税額を試算してみましょう。
建物(住宅)の課税標準は1,400万円でした。
不動産取得税額 = (1,400万円 - 1,200万円) × 3%
ゆえに不動産取得税額は6万円です。
なお住宅の課税標準が1,200万円以下になると、もちろん不動産取得税額は一切掛かりません。
不動産取得税Q&A
最後に【不動産取得税Q&A】と題して、不動産取得税に関する質問をいろいろあげてみました。
戸建とマンションで違いはある?
一概にはいえませんが戸建とマンションを比較した場合、戸建ての方が不動産取得税が掛からない傾向があります。
理由は2つ考えられます。まずひとつ目は構造種別にあります。
戸建住宅の構造種別は大抵が木造で、マンションはRCやSRC造(鉄筋コンクリートか鉄骨鉄筋コンクリート造)になり、圧倒的にマンションのほうが課税標準は相対的に高くなります。そのためマンションのほうが不動産取得税は高くなる傾向にあります。
ふたつ目の理由はマンションは土地の平米当りの単価が高く、また建物の床面積は相対的に狭くなります。よってマンションは土地の不動産取得税の控除額が戸建よりも少なくなる傾向があります。
このためマンションと戸建物件との比較では、マンションは戸建より不動産取得税が高くなる傾向があります。
ただし不動産取得税が高くなる傾向があるという理由だけで、どちらがいいかの優劣はつけられません。また戸建住宅とマンションはまったく別の建物です。不動産取得税が高くなる傾向があるからといっても、それが選択基準にはならないでしょう。自分たちのライフスタイルにあった建物を正しく選んでほしいものです。
未登記物件でも課税されるの?
冒頭でも触れていますが、不動産取得税は登記済み・未登記にかかわらずかならず課税されます。
また未登記のままだと軽減措置が受けられず、本則どおりの不動産取得税が課税されてしまう場合がありますので注意が必要です。
分割払いにも対応してくれる?
不動産取得税は固定資産税とは違い、納税通知書が来たら一括で払い込むのが基本です。
ただし、半年(6か月)以内に払い込む約束で分納の相談は可能です。通常は分納する納付書が新たに送られてきますのでそれを使って支払います。なお分納後に延滞金の支払いもありますので注意してください。
4-住宅用土地の徴収猶予
土地の取得後3年以内に住宅を新築する申告があった場合、またその申告が認められた場合は、最長3年間に限り、不動産取得税の納付が猶予されます。また支払い猶予にあったては下記の書類の提出が必要です。
<提出書類>
・徴収猶予申告書
・土地の売買契約書・領収書
・工事請負契約書、または建築確認済証
・新築住宅予定図面・各種設計図書等
土地を契約後にキャンセルした場合はどうなる?
土地を契約したとしても所有者の移転登記を済ませていなければ、住宅取得税(不動産取得税)を負担することはありません。従って契約後にキャンセルした場合でも不動産取得税の課税は免れます。
ただし所有者の移転登記を済ませている場合は不動産取得税の課税は免れません。キャンセル理由にもよりますが、不動産業者に課税分を請求しても無理でしょう。こういった事態にならないためにも、権利と義務が生じる登記については、よく考えてから行うようにしてください。
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まとめ
不動産取得税は「1,200万円の控除」がありますので、課税されてもその額は大した額ではないと考える方が多いようです。ところが課税標準が大きく控除におさまらないようだと課税額は意外に大きく膨らみます。そういう意味では、あらかじめ正しく試算しておきたい税金のひとつでしょう。
またQ&Aにもあったとおり、不動産業者のと契約のキャンセルは可能ですが、所有者の移転登記を済ませている場合は不動産取得税を課税されてしまいます。この点も十分気をつけて、住宅取得税(不動産取得税)を考えてみることが大切です。