目次
変動金利の住宅ローンは仕組みを理解してから利用しよう
・住宅ローンの変動金利は年2回見直される
・月々の返済額は5年ごとに変更されるが増額は1.25倍以内に抑えられる
・金利の上昇によって返済が遅れたり、未払い利息が発生したりするリスクがある
・住宅ローンの事前審査はまとめて依頼すると便利
・変動金利でも借り換えで返済が楽になる可能性がある
変動金利の住宅ローンの金利が低いのは相応の理由があり、仕組みを分かっていないと金利が上昇したときに返済できなくなります。メリットだけでなくリスクも理解した上で利用したいものです。
変動金利ってなに?
住宅ローンを借りている間ずっと金利が変わらないのは「固定金利」です。対して市場に合わせて常に変動するのが「変動金利」です。基本的に変動金利は「短期プライムレート」に連動します。短期プライムレートとは1年以内の融資で適用される最優遇貸出金利で、年に2回(4月と10月)見直されます。
ところが実際の短期プライムレートを見ると2018年1月の時点で1.475%であり、2009年からずっと変わっていません。住宅ローンの変動金利は短期プライムレートを基準に各金融機関が優遇幅を設けているため、もっと低くなっています。固定金利の年1~2%に比べると変動金利は1%未満なので大きなメリットです。
一方、固定金利は1年以上の融資に適用される「長期金利」に連動しており、変動金利の動きとは異なります。2018年1月の時点では0.065%であり、これに金融機関で上乗せされたものが住宅ローンの固定金利になります。
固定金利の住宅ローンは一度借りてしまえば、その後で市場が変動しても金利は変わりません。変動金利なら金利の上昇分を利息として徴収できます。だから固定金利は上乗せして少しでも金融機関の利ざやを増やし、変動金利は優遇して積極的に借りてもらおうとするのです。
変動金利には金利が上昇すると利息が増えるというリスクがあります。現在でこそ短期プライムレートは1.475%ですが、40年近く前には9%を超えたこともあります。住宅ローンの返済は長期間にわたりますから、目先の金利の低さに釣られて手を出すのは躊躇われるでしょう。
そこで金融機関は変動金利の見直しを半年ごとに行っています。さらに月々の返済額は5年間変わらず、もし金利の上昇によって返済額を増やす時も一度に1.25倍以内に留めるという仕組みです。こうして急激な返済額の増加を防いで負担を抑えています。
変動金利のリスクとは
ところが変動金利のリスクを避けるための仕組みが実は大きな落とし穴になるケースもあります。変動金利にはどのようなリスクがあるのか、あらためて確認してみましょう。
・金利の上限が分からない
金利の下限は0%(あるいはマイナス)ですが、上限はありません。そのため変動金利で組んだ住宅ローンの返済中に金利が上昇すると、どこまで上昇するのか分からず不安になります。過去の短期プライムレートの最高金利は1974年と1980年の9.25%です。
例えば2,000万円を借りて金利が1%のまま35年間返済すると、総返済額は約2,371万円です。これが9.25%になると約6,743万円まで膨れ上がります。簡単に返済できる金額ではないでしょう。
9.25%はあくまでも過去の最高金利であり、決して上限ではありません。経済破綻や戦争、インフレなどで大きく金利が変動すると10%どころか20%にだってなり得ます。たとえ借り始めの金利は低くても常にそのようなリスクと背中合わせであることは承知しておきたいものです。
・元金の返済が遅れる
前述のとおり、変動金利の住宅ローンは急激な金利の上昇に影響されないよう、5年間返済額が変わりません。けれども金利は半年ごとに見直されているので同じ金額を返済しているようでもその内訳は大きく異なります。
先ほどの例と同じく2,000万円を借りて金利が1%のまま35年間返済すると、月々の返済額は56,457円です。このうち利息で引かれるのは16,666円であり、残りの39,791円が元金の返済に充てられます。もし金利が3%になると、返済額は一緒でも利息で50,000円引かれてしまうので元金は6,457円しか減りません。
結果として返済期間が長くなり、その分の利息も余計に支払う破目になります。なぜなら、どんなに金利が上昇しても返済額の増加は1.25倍以内と決められているからです。金利の上昇が続くほど返済額の増加も続き、後半はかなりの負担を強いられるでしょう。
・未払い利息が発生する
同じ例で3%まで金利が上昇する分には、まだ月々の返済額で利息を支払って元金の返済もできました。けれども5%まで上昇したら、どうなるでしょうか。既に利息だけで83,333円になり、もはや従来の返済額では支払えなくなります。たとえ全額を利息の支払いに充てても、まだ26,876円が未払いです。
つまり元金が減らないどころか利息まで積み上がってしまいます。未払い利息が積み上がっている間は、どんなに返済額が上昇しても元金には回せません。ますます完済が遅れてしまうでしょう。
金融機関によって未払い利息の返済方法は月々の返済額とは別に清算することも可能です。変動金利の住宅ローンを利用するなら、未払い利息に備えて貯金しておきたいものです。
・つい借り過ぎてしまう
住宅ローンの変動金利は低く設定されているため、月々の返済額や総返済額で見ると多めに借りても完済できると考えがちです。金融機関の中には返済比率が年収の40%まで融資してくれるところもあります。それで理想の住宅に手が届くなら多少無理をしてでも、つい借り過ぎてしまうでしょう。
もし金利が上昇しなければ何の問題もありません。むしろ下落すれば元金の返済が進んで早く完済できます。けれども逆だったら簡単に破綻してしまうでしょう。どんなに金利が低くても身の丈に合った金額を借りるのが大切です。
・変動金利に向いている人は?
変動金利の住宅ローンは長期の借入になるほど金利上昇のリスクに晒されやすくなります。ですから20年以下の短期間で完済できる人や、住宅ローンを利用しても貯金できるくらいの余裕を持てる人が向いています。また半年ごとの金利の変動をチェックし、返済がどれだけ進んでいるのか自分で把握できる人も有利です。たとえ金利が上昇しても早めに手を打てるでしょう。
逆に長期にわたって同じ金額で返済したい人や、細かい計算が苦手な人、貯金するほどの余裕がなく子育てや介護など不確定な出費が多い人は多少金利が高くても固定金利の住宅ローンにしたほうが無難です。
複数の銀行で事前審査を
住宅を購入するときは売買契約書を取り交わす前に、本当にローンを組めるか金融機関に事前審査を依頼します。審査に通れば売買契約書を取り交わし、あらためて融資の申込を兼ねて本審査を受けます。
変動金利の住宅ローンを利用するときも、一度に複数の金融機関へ事前審査を依頼するのが効率的です。最近はインターネット上から一括で依頼できるサービスもあります。メリットとデメリットを見てみましょう。
メリット
金融機関が提示する住宅ローンの金利は最大の優遇を受けた場合のものであり、必ずしもその通りの金利が適用されるわけではありません。
そのため、1つの金融機関だけで決めてしまうともっと有利な住宅ローンを見逃してしまう可能性があります。その点、複数の金融機関へ同時に事前審査を依頼すれば金利や借入可能額を簡単に比較できます。
また事前審査が通らなくて別の金融機関に依頼すると、それまでの時間が無駄になり再び書類を準備しなければいけません。手間がかかる上に他の買い手がついてしまう恐れもあります。その点、一括で事前審査を依頼できるインターネットサービスは1回必要事項を入力するだけであり、どの金融機関も同時に審査してくれます。もちろんフラット35でも本審査でも同様です。
デメリット
一方で複数の金融機関から同時に審査の結果が出て、すべてに落ちてしまうと手の打ちようがありません。1件ずつなら他のローンを返済したり、信用情報を調べたりするなど何らかの改善ができて他の金融機関の審査につなげられます。
また仮審査に申し込んだ結果は信用情報に記録されます。通っていれば問題ありませんが、すべて落ちると他の金融機関にマイナスの印象を与えるでしょう。
特に本審査で複数の金融機関に申し込むときは慎重に対応しなければいけません。既に別の金融機関で審査に通っているのに、そのまま違うところに依頼すると双方から信用を失くす恐れがあります。
契約しない場合は必ず辞退の申し出をすると共に、できれば本命のところから優先して本審査を依頼するようにしたいものです。
ちなみにこうした信用情報は自ら開示請求を行えば確認できます。銀行であれば「全銀協(全国銀行協会)」、クレジットカードやローンであれば「JICC(全国信用情報機構)」や「CIC(クレジットインフォメーションセンター)」です。
またインターネットの一括サービスは利用できる金融機関が限られています。むしろハススメーカーが勧めるところなど、それ以外の金融機関のほうが審査に通りやすく条件が良いかもしれません。
いざという時に借り換えはできる?
月々の返済を楽にするため、あるいは少しでも早く完済するために、別の金融機関の有利な住宅ローンへ借り換えを検討することがあるでしょう。変動金利でも借り換えは可能なのでしょうか。またメリットはあるのでしょうか。
・変動金利から変動金利への借り換え
前述のとおり変動金利の基準となる短期プライムレートは、この数年間ほとんど動いていません。金利が下がっているように見えても、それは金融機関の優遇幅が広がっているだけです。既存の住宅ローン利用者には契約時の優遇幅が適用されたままです。
つまり別の金融機関の変動金利の住宅ローンに借り換えれば、最新の優遇幅が適用されて金利が低くなる可能性があります。特にメガバンクからネット銀行へ借り換えるとお得になりやすいでしょう。
まずは金融機関のサイトでシミュレーションするのがおすすめです。その際は借り換えにかかる諸費用も考慮しましょう。特に手数料は融資希望額によって数十万円ほどかかります。
一般的に借り換えの恩恵を受けやすいのは「元金1,000万円以下、金利1%以上減、返済期間10年以下」です。ただし元金が多く返済期間が長ければ金利が1%以上減らなくても総返済額は数百万円単位で少なくなるでしょう。
・変動金利から固定金利への借り換え
一方、住宅ローンの固定金利も1~2%と変動金利で借りた時期によっては借り換えで返済が楽になる場合があります。金利の上昇に不安を感じるなら固定金利にしておいたほうが影響を受けないので安心ですし、今なら低金利のままです。
その代わり固定金利の住宅ローンは団体信用生命保険の加入が必須の金融機関が多く、その分を含めると結局は変動金利のときより高くつく可能性があります。類似した生命保険を解約して出費を抑えるなどの対策が必要です。
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まとめ
変動金利の住宅ローンは常に金利が上昇するリスクと隣り合わせです。単に金利の低さで飛びつくのではなく、必ず仕組みを理解して万が一の事態に備えておきましょう。上昇には限りがなく、利息も未払いになるほど返済が困難になるからです。
上手に利用すれば1%未満で住宅ローンを利用できるメリットがあります。借り換えでもお得になるでしょう。