年収とマンション購入の最適な関係とは

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マンション購入の目安を考えるときに必要な頭金

マンションを購入する時に頭金を用意しておけば、住宅ローンの借入額を抑えられて返済の負担を軽減できます。一般的に物件価格の20~30%を用意するのが望ましいとされていますが、登記や融資などに伴う費用としてさらに3~7%(中古は6~10%)必要です。

住宅金融支援機構が2016年におこなった「フラット35利用者調査」によると、マンションの購入者が頭金として用意した額の平均は949万円でした。3,000万円のマンションを購入する場合に必要な頭金の割合とほぼ一致しています。

ただし、これだけの頭金を用意するのは時間がかかり、本当にマンションが必要な時に購入できないかもしれません。むしろ無理なく用意できる頭金や返済可能額から、手が届くマンションを選ぶという考え方もあります。

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住宅ローンを組むのは年収の5倍と言われているけれども本当は12倍!?

一般的に住宅ローンの借入額は年収の5倍が望ましいとされています。これは実際に住宅ローンを組む時、世帯年収に対する年間返済額の割合を示す「返済負担率」が25%以内なら破綻する恐れが少ないからです。それを住宅ローンの借入額に換算すると年収の5倍になります。

ただし実際にはそれ以上の借入額で住宅ローンを組める金融機関も存在します。当然、返済負担率も25%を超えます。主な金融機関が提示する返済負担率の上限は以下のとおりです(2017年11月現在)。

商品名

返済負担率

フラット35

30%以下(年収400万円未満)

35%以下(年収400万円以上)

楽天銀行住宅ローン(金利選択型)

30~35%

三井住友住宅ローン(三井住友銀行)

35%以下

福岡銀行住宅ローン

20%以下

返済負担率が35%になると年収の約12倍を借りられる計算になります。

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無理なく返済できる住宅ローンの借入額は年収の4倍?

ただし年収の12倍も借りてしまうと、月々の返済額はかなり多くなってしまいます。例えば年収400万円の人が年利3%の住宅ローンで年収の5・8・12倍を借り、35年かけて元利均等返済した場合は以下のとおりになります。

借入額

月々の返済額

5倍(2,000万円)

76,970円

8倍(3,200万円)

123,152円

12倍(4,800万円)

184,728円

ちなみに年収400万円でボーナスが無い場合、月収は約33万円となり、そこから所得税や保険料を引いた可処分所得は約26.4万円です。12倍は論外として、8倍でも可処分所得の半分近くになります。5倍でもほぼ3割なので大きな負担です。

年収の4倍(1,600万円)なら月々の返済額は61,576円になり、これなら無理なく捻出できるでしょう。返済負担率は可処分所得のほぼ25%、総所得で計算した場合は20%です。

ちなみにボーナス返済を併用しても、月々の負担が重くなるだけでそれを挽回するはずのボーナスも使えません。初めからボーナスを当てにするよりは毎月の給料だけで返済するよう計画した方が良いでしょう。

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住宅ローンで無理してはいけない理由

せっかくの我が家なのですから、返済できるなら限界まで住宅ローンを利用したいものです。低い金利で借りられるならなおさらでしょう。例えば先ほどの条件で年利が1%になると年収の8倍(3,200万円)借りても月々の返済額は90,331円となり、ちょっと節約すればなんとか返済できそうです。

ただし、こうした余裕の無い住宅ローンを組んでしまうと、万が一の事態が発生した時にすぐ行き詰ってしまいます。例えば収入が途切れたり急な出費が発生したりするなどです。

また、年利が低いからという理由で固定金利ではなく変動金利でローンを組むと、金利が上昇した時に月々の返済額も増えてしまいます。直近では平成3年(1991年)に8.5%まで上昇しました。限界まで住宅ローンを利用していたら簡単に破綻するでしょう。

そのため返済負担率の20~25%、つまり年収の4倍程度にとどめ、その分だけ頭金を多くして余裕を持たせるのが望ましいです。

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返済負担率35%の住宅ローンがあるのは高年収のため

先述のとおり金融機関の中には返済負担率35%を上限に住宅ローンを融資しているところがあります。可処分所得の2/3を超えるため「過剰貸付ではないか」と考えてしまいますが、必ずしもそうとは限りません。

固定費など生活に最低限かかる費用は収入の多い少ないにかかわらず同じです。差が出るとすれば贅沢の有無や税金や保険料くらいです。そのため高収入の人ほど住宅ローンの返済が可処分所得の大半を占めてもまだ貯金できる余裕があります。

もっとも、その収入がいつまでも続くとは限らず、お金があればどうしても贅沢したくなるでしょう。高年収でも返済に余裕を持たせて住宅ローンを組んだ方が安全です。

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金融機関が実際に融資してくれるのはどれくらい?

返済負担率35%までの住宅ローンが可能でも、必ずそのとおりに融資してくれるわけではありません。どの金融機関にも必ず審査があります。他のローンと同じく年収以外にも年齢、職業、家族の有無などの属性を確認して最終的な融資額を決定します。年齢が高すぎると長期の住宅ローンは組めないですし、勤続年数が短いと信頼性は低くなります。

特に気をつけたいのが他のローンの残債です。返済負担率は住宅ローン以外の借入も含めて計算します。もし他のローンの残債があれば、その分だけ融資される住宅ローンは減少するでしょう。

同様に融資可能額も他の金融機関と合計するので、カードローンの限度額が高いほどやはり住宅ローンの融資額は減少してしまいます。たとえ借入していなくても、それだけ借りる可能性があるとみなされてしまいます。申込の前に解約しておいた方が無難です。クレジットカードのキャッシング枠もゼロにしておきましょう。

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ライフプラン表でマンション購入に長期的な視点を

住宅ローンの返済は最長35年に及びます。その間には年収が上下したり、家族構成が変化したりするなどしてマンションを購入する時と同じではいられません。先のことを考えずに現在の状況だけで住宅ローンを組んでしまうと悪い方向に変化した時、返済できなくなってしまいます。

35年など長期に及ぶ住宅ローンを組む時は定年退職まで返済が完了するか、昇給の見込みはあるか、子どもがいる場合は教育費も用意できるかなどを考えなければいけません。ただし漠然と考えたのでは、いつどこでどれくらいの収入と支出があるのか分かりません。そこで「ライフプラン表」に書き起こしていきます。

ライフプラン表とは1年ごとに家族の起こり得るイベントや見込まれる収入と支出を書き込んでいくものです。子どもの進学や結婚はもちろん、車や大型家電の買い替え、あるいは旅行などレジャーの予定も含めます。これを10年や35年などまとまった期間で作成するとキャッシュフローが分かりやすくなるのです。

もちろん途中で収支がマイナスになってしまうと、そこで家計は破綻します。そうならないように支出を減らすか収入を増やさなければいけません。マンションの購入で住宅ローンを利用する時も、無理なく返済できるか一目で分かるでしょう。逆に妻がパートに出たり不要な保険を解約したりするなど資金源を見つけて、ワンランク上のマンションを購入できる場合もあります。

ライフプラン表はファイナンシャルプランナーがいる金融機関であれば作成してくれるところもあります。けれどもマンションで暮らす家族全員の意見を聞きながら、本人が時間をかける方が漏れなく作成できるでしょう。

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年収ってどれくらい増えるもの?

サラリーマンのように給与で収入を得ている場合、ライフプラン表では年に1.1%収入が増えるという前提で計算するのが一般的です。けれども年功序列の頃はともかく、実際に年収が毎年必ず1.1%上がる保証はまずありません。

サラリーマンの給与は基本給と手当、割増賃金で構成されており、それぞれの額は社内の給与規定(賃金規定)で定義されています。基本給は役職によって異なり、会社によっては能力や勤続年数などによってもっと細分化されています。自分でライフプラン表を作成する時は給与規定を参考にすると、より現実に則した年収を計算できるでしょう。

当然、このような給与規定がある職場で収入を増やすには上位を目指さなければいけません。それが仕事へのモチベーションにもつながります。逆に何らかの事情で昇給が見込めない場合は転職して収入を増やす決心がつきそうです。このように自社の給与規定をしっておくことは大事です。

一方、自営業者や個人事業主は働いた分がそのまま所得になり、経理を工夫すれば収入を増やせます。マンションを購入したいなら、あらためて働き方や経理処理を見直してみましょう。

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年収別にみる無理せず買える住宅の金額は?

これまでの流れを踏まえて、年収別に無理せず買える住宅の金額を返済年数ごとに表したのが以下のグラフとなります。

年収

月々の返済額

返済年数

10年

15年

20年

25年

35年

 300

 5万円

 520

 720

 900

 1,050

 1,290

 400

 6万円

 620

 860

 1,080

 1,260

 1,550

 600

 12万円

 1,240

 1,730

 2,160

 2,530

 3,110

 800

 15万円

 1,550

 2,170

 2,700

 3,160

 3,890

 1,000

 17万円

 1,760

 2,460

 3,070

 3,580

 4,420

 1,500

 26万円

 2,690

 3,760

 4,690

 5,480

 6,760

 2,000

 34万円

 3,520

 4,920

 6,130

 7,170

 8,830


数値の単位はすべて万円で年利は3%です。それぞれの具体的な数値は以下のとおりとなります。月々の返済額は返済負担率が20%になるよう算出しています。

返済年数ごとに表示しているのは年齢によって組める住宅ローンの年数に限界があるからです。

こうして見ると年収が多くなるほどグラフは右肩上がりになり、35年のローンを組めば購入できるマンションの選択肢も広がります。さらに頭金を2割程度用意できるなら年収300万円でも1,600万円の物件に手が届くでしょう。

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平均的な35歳共働き家庭で返済シュミレーションをしてみる

マンションの購入意欲が高い35歳のサラリーマンの平均年収は約430万円といわれています。半分近くが300~500万円の年収です。では35歳の共働き家庭がマンションを購入して無理なく住宅ローンを組むとしたら、いくら借りてどのように返済できるのでしょうか。

条件としては夫が会社員で妻がパート、世帯年収は500万円とします。住宅ローンは年利3%です。先ほどのように返済負担率を20%とすれば毎月の返済額は8.5万円です。ボーナス払いはありません。

例えば35年で住宅ローンを組むと借入可能額は約2,210万円です。これを35年420回かけて返済します。総返済額は3,570万円となり、そこから元本を差し引いた約1,360万円が利息です。総返済額の実に4割近くを占めます。

ただし35年の住宅ローンでは完済するのが70歳であり、既に定年後であることを考えるとあまり現実的ではありません。退職金で清算するのは老後の資金が心配です。そこで30年で住宅ローンを組むと借入可能額は約2,020万円となります。総返済額は3,060万円で利息は約1,040万円とほぼ1/3です。多くの企業で定年となる65歳までには完済できます。

もちろんライフプラン表を作成して繰り上げ返済ができるようなら返済期間は短くなり、その分だけ利息も少なくなります。繰り上げ返済には数万円の手数料が発生しますが、最近ではインターネットバンクを中心に無料や1万円以下の安価に設定している金融機関が増えています。

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マンション購入後のランニングコストにも注意

マンションはたとえ一括払いで購入して自分のものになってもランニングコストがかかります。例えば毎月発生するのが管理費や修繕積立金です。さらに車を所有しているなら駐車場代もかかります。金額はマンションによっても異なりますが、管理費や修繕積立金は大規模でエレベーターなどの共有設備が多いほど高くなりがちです。

また一戸建てと同じく固定資産税や都市計画税が請求されます。共に地方税でありマンションが所在する市町村(東京23区は東京都)が徴収します。どちらも「固定資産税評価額」に一定の税率を掛け合わせて算出され、税率は自治体によって異なります。標準は固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%です。納期は年に4回あります。

火災保険も更新のたびに保険料が必要です。これらをトータルすると年20~40万円ほどの出費になるでしょう。住宅ローンを組む時はこうしたランニングコストについても考慮したいものです。

■親の援助でマンションを購入する時の注意点

自分の収入だけでは希望するマンションを購入できない場合、生活を切り詰めて資金を捻出したり、アルバイトをして収入を増やしたりする方法があります。ただし、どちらも大きな負担がかかってしまうので、あまり現実的ではありません。もし親が資金援助してくれるならとても有難いですが、いくつか注意点があります。

まず親に限らず誰かから年に110万円を超える財産の贈与を受けると「贈与税」が発生します。計算式は「(その年に贈与された財産-110万円)×贈与税率-控除額」です。贈与税率と控除額は贈与財産の額によって変わります。詳しくは以下のとおりです。

課税価格

(贈与財産-110万円)

税率

控除額

~200万円以下

10%

~400万円以下

15%

10万円

~600万円以下

20%

30万円

~1,000万円以下

30%

90万円

~1,500万円以下

40%

190万円

~3,000万円以下

45%

265万円

~4,500万円以下

50%

415万円

4,500万円超

55%

640万円

例えば親から一括で2,000万円の資金援助を受けた場合は「(2,000万円-110万円)×45%-265万円」となり、585.5万円の贈与税がかかります。せっかく贈与を受けても実際に使えるのは3/4以下なので割りに合わないと思えるでしょう。

そこで住宅購入のために実の親や祖父母から資金援助を受けやすくするための制度があります。「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」です。資金援助を受けて2020年3月までに契約を締結すれば良質住宅で1,200万円、一般住宅で700万円までが非課税になります。さらに贈与税の非課税枠と併用すれば実質1,310万円(一般住宅は810万円)です。

適用されるには、マンションであれば登記簿上の床面積が50平方メートル以上、240平方メートル以下でなければいけません。さらに贈与を受けた年の所得が2,000万円以下で、翌年の3月15日までに入居する見込みという条件もあります。

もう1つ「相続時精算課税制度」があります。親や祖父母が60歳以上であれば2,500万円までの資金援助が非課税になる制度です。2021年末までは住宅取得資金に限り、60歳未満でも適用されます。贈与税の非課税枠とは併用できませんが、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置とは併用できるので、最高で3,700万円までが非課税となります。

どちらも適用されるには税務署への申告が必要です。毎年2/1~3/15まで前年度の贈与について申告します。多くの提出書類があるため、利用の際にはあらかじめ税務署に確認しましょう。

他にも親からお金を借りる方法もあります。金融機関よりも低い金利で借りれて手数料が不要なところは魅力ですが、無金利では贈与とみなされるので相場と大きくかけ離れていない程度の金利は必要です。身内の貸し借りはついなあなあになりがちですが、住宅購入資金は高額ですから必ず借用書を作成して返済も銀行振込など記録に残る形にした方がトラブルを防げるでしょう。

また、親と一緒にマンションを購入する方法もあります。この場合マンションは共有名義となり、親が負担した資金の割合が持ち分になります。税務署の手続きが不要で、借金の返済もありません。ただし本人以外の兄弟がいると遺産分割の際にもめる原因となるので、生前のうちに公的な遺言書で本人が相続できるようにするなど準備が必要です。

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まとめ

年収はマンションを購入するために住宅ローンを申し込む時だけでなく、返済負担率を考える上でも重要です。年収が多いほど高額で高い返済負担率の借入が可能ですが、万が一の事態に備えて余裕を持たせるのが望ましいでしょう。ライフプラン表を作成してキャッシュフローを可視化すると、より具体的で無駄のない購入や返済計画を立てられます。

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